展示した「ハーフカットセル」の太陽光パネル
展示した「ハーフカットセル」の太陽光パネル
(出所:日経BP)
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ジャンクションボックスは3個
ジャンクションボックスは3個
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 中国の大手太陽光パネルメーカーのジンコソーラーホールディングは、PV Japan 2017(7月5日〜7日、パシフィコ横浜で開催)において、「ハーフカットセル」や「マルチバスバー」といった、より高効率な太陽光パネルを出展し、今後、日本で拡販していく。

  「ハーフカットセル」は、通常の結晶シリコン型セル(発電素子)を半分に切ったもの。これで構成した太陽光パネルは、通常の寸法のセルで構成した場合に比べて、電気抵抗を低減できることによって発電効率が向上するという。抵抗が減ることで、夏季などの高温時の変換効率の低減も抑えられ、この効果も発電量の増加につながる。

 同社が展示したハーフカットセルの太陽光パネルは、従来の寸法の60セル品に相当するもので、ハーフカットの120セルで構成する。

 セルは、単結晶シリコン型でPERC(Passivated Emitter and Rear Cell:裏面不動態型セル)を採用した。出力は最高で320W/枚、変換効率は最高で19.73%としている。

 他社製の同様の製品の最高出力305W/枚に比べて、出力が15W/枚高く、従来の寸法の72セル品の出力に近いと強調している。太陽光をより高効率に取り込めるセルと、より低損失な直列接続によって、こうした差を実現したとしている。

 海外の太陽光パネル大手は、ハーフカットセルを採用したパネルを相次いで製品化しており、今回のPV Japan 2017に合わせて、カナディアン・ソーラー(関連ニュース1)、中国インリー・グリーンエナジー・ホールディング(関連ニュース2)も、日本で拡販する意向を示している。

 海外市場で太陽光発電の売電単価が急低下する中、太陽光パネル大手各社は、高効率タイプの製品を開発・提案することで、面積当たりの売電額を高めたり、施工費を削減したりする利点を訴求し、単なる低価格競争に陥ることを回避しようとしている。

 日本でも、固定価格買取制度(FIT)の買取価格の低下、連系に要する工事費負担金の増加、平坦な用地が少なくなってきていることによる造成費の高額化といった環境での開発にあたり、こうしたパネルの採用が有効と各社が提案を強化している。

 ジンコソーラーはこのほか、「マルチバスバー」を採用した単結晶シリコン型のパネルも展示した。60セル品の出力は最高で320W/枚、変換効率は最高で19.55%としている。