太陽光の資金調達、最新レポート公表

　クリーンエネルギー分野のコンサルティングなどを世界的に手がけるMercom Capital Group社は7月10日、太陽光発電分野における2017年の上期および第2四半期の資金調達と買収・合併（M&A）の動向に関するレポートを公開した。

　資金調達には、ベンチャーキャピタル（VC）の資金、公開市場、融資による調達を含む。

図1●2013年上期～2017年上期における太陽光発電の資金調達の件数および金額の推移

（出所：Mercom Capital Group）

　同レポートによると、2017年上期の資金調達の総額は、前年同期と比較して微増の46億ドルだった。2017年上期の案件数は97件で、2016年上期の79件から約23％増となった（図1）。

　2017年第2四半期の太陽光発電分野の資金調達は37案件の14億ドルで、同年第1四半期の60案件の32億ドルから下落した。前年比では、2016年第1四半期の17億ドルから17％減となった。

　Mercom社のRaj Prabhu最高経営責任者（CEO）は、「現在、太陽光の市場には不確実性が相当にあり、資金調達の動向にも反映されている。ただ、太陽光関連の公開企業、特に米企業は今年、良好な業績で推移している。今後はSuniva社による反ダンピング提訴の行方次第で、市場の趨勢が左右されるだろう」と指摘する。

図2●2013年上期～2017年上期における太陽光発電のVC資金調達の件数および金額の推移

（出所：Mercom Capital Group）

　太陽光分野の2017年上期のVCの資金調達額は、前年同期比で23％増の7億1300万ドルだった。これは主に2017年第1四半期が強含みだったことによる（図2）。

　2017年第2四半期には、VCの資金調達は23案件の1億2800万ドルで、同年第1四半期の22案件の5億8500万ドルから大幅に下落した。

　2017年上期のVC案件のトップは、ReNew Power Ventures社の2億ドルだった。以下、Greenko Energy Holdings社の1億5500万ドル、Hero Future Energies社の1億2500万ドル、Silicon Ranch社の5500万ドル、5位タイでSiva Power社とSpruce Finance社の2500万ドルの順となった。

　公開市場による資金調達は、2017年上期に9億3400万ドルとなり、2016年上期の2億7600万ドルから大幅に増加した。四半期ごとの推移では、2017年第2四半期は6案件で4億7300万ドルが調達され、同年第1四半期の13案件、4億6100万ドルから微増となった。

　融資による調達は、2017年上期に30億ドルとなり、前年上期の37億ドルから約19％減となった。四半期毎の推移では、2017年第2四半期は8案件で7億9800万ドルが調達され、同年第1四半期の25案件、22億ドルから約64％と大幅な減少となった。

　2017年上期に公表された大規模に資金を調達した太陽光発電プロジェクトは、81案件で総額74億ドルだった。2017年第2四半期に公表された同様のプロジェクトは、48案件で総額48億ドルだった（表1）。

　2017年上期のM&A取引は、40案件で前年同期の30案件から約33％の増加となった。四半期毎の推移では、2017年第2四半期は11案件で、同年第1四半期の29案件、前年第2四半期の16案件からいずれも減少した。2017年上期の大規模なM&A案件は100件の10.6GWで、2016年上期の90件の4.5GWと比較して件数はやや増加、容量は2倍以上の増加となった（表2）。