「コメット(COMET)プレッシャーガイドワイヤ」の先端部(図:米Boston Scientific社)
「コメット(COMET)プレッシャーガイドワイヤ」の先端部(図:米Boston Scientific社)
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報道陣向け説明会で握手をするボストン・サイエンティフィック ジャパン代表取締役社長の内木祐介氏(左)と朝日インテック代表取締役社長の宮田昌彦氏(右)。ボストン社はこれまで治療領域の製品を中心に手掛けてきたが「今後は診断領域へも積極的に製品を投入する」(内木社長)という
報道陣向け説明会で握手をするボストン・サイエンティフィック ジャパン代表取締役社長の内木祐介氏(左)と朝日インテック代表取締役社長の宮田昌彦氏(右)。ボストン社はこれまで治療領域の製品を中心に手掛けてきたが「今後は診断領域へも積極的に製品を投入する」(内木社長)という
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説明会でFFRについてレクチャーした岐阜ハートセンター院長の松尾仁司氏
説明会でFFRについてレクチャーした岐阜ハートセンター院長の松尾仁司氏
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説明会で、経皮的冠動脈形成術の現状や今後についてレクチャーした東邦大学医学部医学科内科学講座(大橋)循環器内科教授の中村正人氏
説明会で、経皮的冠動脈形成術の現状や今後についてレクチャーした東邦大学医学部医学科内科学講座(大橋)循環器内科教授の中村正人氏
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 ボストン・サイエンティフィック ジャパンは2016年7月13日、PCI(Percutaneous Coronary Intervention:経皮的冠動脈形成術)の適応判断に用いるFFR(Fractional Flow Reserve:冠血流予備量比)の計測機器「コメット(COMET)プレッシャーガイドワイヤ」を国内向けに発売した(発表資料)。放射線や内視鏡関連のディスポーザブル製品を手がける米Boston Scientific社と朝日インテックが共同開発した製品。トルク性(回転追従性)が高く使いやすいといった特徴を持つ。償還価格は16万2000円。

 現在、日本では、冠動脈の狭窄や閉塞によって心臓の筋肉への血液供給が不足することで発症する狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患の治療として、年間約25万件のPCIが行われている。このPCIを行うべきかどうかの判断指標となるのが、FFRである。FFRは、ガイドワイヤーを使って冠動脈内の狭窄部位の前後の血流の圧較差から狭窄の有無と度合いを数値的に把握するもの。岐阜ハートセンター院長の松尾仁司氏によれば「血管の狭窄は血管造影でも把握できるが、FFRはその狭窄が虚血を生じるかどうかのグレーゾーンが狭いため、血管造影よりも臨床で使いやすい指標」という。

 朝日インテックのガイドワイヤーは手元の操作をワイヤーの先端部が正確に追従するトルク技術が特徴。「1.8mほどあるワイヤーの先を、自分の指のように使える」(朝日インテック代表取締役社長の宮田昌彦氏)とうたう。また、先端部にダブルコイル構造を採用するなど、耐久性を高める工夫をしている。同社はカテーテル治療用のPTCAガイドワイヤーを106の国・地域に販売しており、日本市場では60%を超えるシェア(同社調べ)を持つという。

 今回の共同開発品では、朝日インテックの技術を組み込むことで操作性を高めた。手元の操作部を360度回転させれば、先端も約350度回転するといい、競合他社製品に比べて追従性が高いとする。また、従来の電子式センサーに代えて光圧センサーを採用することで、測定制度も向上したという。

 このガイドワイヤーと接続するハードウエアには、専用装置を用意するのではなく、既発売のBoston Scientific社製IVUS(血管内超音波)検査装置「iLab」のソフトウエアをアップグレードして使えるようにする。スペースが限られた心臓カテーテル室に導入しやすくする狙いだ。iLabは日本全国に約1000台が設置されており、当面はこのうち300~400台のアップグレードを目標としている。

 東邦大学医学部医学科内科学講座(大橋)循環器内科教授の中村正人氏は「日常臨床の中で安心して機能的狭窄度の評価ができる、患者の血管への侵襲度が低く、オペレーターにとって操作上のストレスが少なく、測定精度の高いFFRプレッシャーガイドワイヤーを長く待ち望んでいた。今回の製品には臨床医の一人として期待している」と話す。

■変更履歴
取材先から発表資料に訂正があったとの申し入れがあり、「FFR(Fractional Flow Reference:冠血流予備量比)」を「FFR(Fractional Flow Reserve:冠血流予備量比)」に修正しました。