インドネシア南カリマンタン州タナ・ラウト県に設置されたトライブリッド基地局
インドネシア南カリマンタン州タナ・ラウト県に設置されたトライブリッド基地局
(出所:NEDO、KDDI)
[画像のクリックで拡大表示]
トライブリッド基地局の概念図
トライブリッド基地局の概念図
(出所:NEDO、KDDI)
[画像のクリックで拡大表示]

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)とKDDIは7月11日、両者がインドネシアで取り組んでいる「トライブリッド基地局実証事業」が、二国間クレジット制度(JCM)のプロジェクトに登録されたと発表した。また同事業は、6月21日に日本インドネシア国交樹立60周年記念事業に認定された。

 「トライブリッド基地局」とは、時間帯や天候に応じて太陽光発電、深夜電力を蓄電したリチウムイオン電池、商用電力(またはディーゼル発電機)の電力を効率的に活用する携帯電話基地局。KDDIは、2009年に日本国内に初めてトライブリッド基地局を設置し、全国100カ所まで拡大させている。

 KDDIは、2015年1月から経済産業省の事業においてインドネシアにおけるトライブリッド基地局の導入に取り組み、その後NEDO事業において2018年1月までにインドネシア20カ所の携帯電話基地局にトライブリッド技術を導入し実証事業を進めてきた。

 同実証事業では、基地局の電力負荷と電力供給状態に応じて電源制御することで温室効果ガスとディーゼル燃料消費量を削減し、長時間安定した通信環境を構築する。また、必要な部品はすべてインドネシア国内で調達することで同国の産業発展にも貢献する。

 今後は熱帯雨林や雨季でも有効に動作することを検証し、さまざまな環境下での最適化を進めて2019年2月までに最大約80%の温室効果ガス排出削減効果を実証する。また、インドネシア工業省との協力のもと、商用電力が未整備の地域に設置する基地局や、電力の不安定な地域の基地局の5~10%を「トライブリッド化」することで、年間約7万tの温室効果ガス排出量削減を目指す。