ドイツの太陽光パネル大手SolarWorld(ソーラーワールド)社の米国現地法人であるSolarWorld Americas社は7月12日、金融機関の支援などにより、新たに1000万ドル以上の現金を確保できる見込みで、それによって2017年以降の業務を安定化・最適化するとの意向を発表した。

 独ソーラーワールド社は今年5月の上旬に債務超過による経営破たんを発表、地元の裁判所に法的な処置を申請し、現在、債権者との調整や同社の経営権獲得を望む投資家の探索などを進めている(関連記事1)。

 米SolarWorld Americas社は当時、ドイツ本社と同様に当局に対して経営破たんの申請を行うかを調査中としていた。

 同社のJuergen Stein社長は、「金融機関は600万ドルを現金で入金することにただちに合意した。事業に不要な資産を売却して得られる収益を当面の業務で活用することも承認する予定だ。これらの現金を合わせると、短期的に1000万ドル以上が注入される見込みだ」と述べている。

 今回の発表により、同社はドイツ本社の経営破たん処理の枠外で独自に事業の継続を目指す意向を明確に示したことになる。

 同社は当面の事業を継続すると同時に、米Suniva社の提訴に端を発する米国内の太陽光パネル産業の保護政策の実現をSuniva社とともに推進するとみられる。具体的には、米国の輸入する太陽光パネルに対する関税や最低輸入価格といった措置の制度化を目指す(関連記事2)。

 今後、同社の米国内での事業の推移や、Suniva社の提訴に対する裁判所の判断、メキシコ国境沿いの壁に太陽光パネルの設置を示唆するなど再生可能エネルギーにも一定の理解を示したトランプ政権の対応などが注目される(関連記事3)。