試作品(基板の表面)
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試作品(基板の裏面)
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オンチップ化が難しい水晶発振器を減らす
オンチップ化が難しい水晶発振器を減らす
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 東京工業大学と情報通信研究機構(NICT)は、無線通信回路に使われている水晶発振器を不要にできる回路技術を開発した。MEMS(微小電子機械システム)技術などによるオンチップ化が可能な振動子を使う。

 既存の無線通信回路では、RF(無線周波)信号の周波数基準を提供するLO(局所発振回路)に水晶発振器を使う。例えば数百MH~数GHzのRF信号向けLOは、40MHzなどの水晶発振器の出力を逓倍するPLL回路で構成している。今回の技術は、高精度が求められて高価な40MHzの水晶発振器を不要にした。ただし、多くの組み込み機器などで使われている32kHzの水晶発振器からのクロックは必要になる。

 今回、32kHzの水晶発振器ではなくRF信号向けを対象としたのは、「無線通信回路設計の課題として残っているのはRF信号向け水晶発振器」(東京工業大学 未来産業技術研究所 准教授の伊藤浩之氏)のためである。32kHzの水晶発振器は、もともとマイコンなどに使われることが多い上に安価であり、将来的にはICに集積あるいはICパッケージ内に内蔵する開発が進んでいる。