リュックサックに詰め込み、女性でも運べる
リュックサックに詰め込み、女性でも運べる
(出所:三重大学)
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9枚の太陽光パネルと蓄電池で構成
9枚の太陽光パネルと蓄電池で構成
(出所:三重大学)
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 三重大学は5月26日、軽量タイプの持ち運び可能で、蓄電池を備えた太陽光発電システムを発表した。災害時に活用しやすいシステムを構想し、実用化した。

 コンセプトは、女性でも持ち運べるほど軽量で、災害時、電気が止まった際など、「いつでも・どこでも・誰でも使える」蓄電池付きの太陽光発電システム。

 保護材の一種であるジャバラを手掛けるナベル(三重県伊賀市)が立案し、同大学大学院 地域イノベーション学研究科の坂内正明特任教授と共同開発した。

 持ち運び可能とする同様のシステムは、従来から製品化されてきたが、蓄電池の容量が少ないなどの課題があり、主にレジャー用としての利用にとどまっていた。

 今回開発した製品は、こうした従来のシステムに比べて、蓄電池の容量が大きい上、寒暖や風雨、雪などへの耐久性が高く、10年間以上の利用時でも劣化が少ないため、電力供給能力があまり低下しないとしている。

 晴天時は、蓄電池を約3時間でフル充電でき、携帯電話機の充電で約20時間、小型扇風機の駆動で約5時間利用できる。Liイオン蓄電池を採用し、出力は120W、容量は200Whとなっている。寸法は、140mm×45mm×370mmで、重さは約2kg。

 太陽光パネルは、アモルファス(非晶質)シリコン型の薄膜タイプで、軽量で柔軟性を持つ。9枚のパネルを折り畳める構成とし、持ち運びやすくした。パネル1枚の寸法は、約50cm×約42cmで、重さは約3kg。

 封止には特殊なシートを使い、過酷な利用条件であっても安定的に使えるとしている。万が一、パネルが損傷した場合には、そのパネルだけ取り外して交換できる構造とし、保守性を高めた。

 パネルは並列に接続しており、一部のパネルが影で隠れても、残りのパネルの出力は落とさずに発電できる。

 開発には約2年間を要した。ナベルの持つ軽量化や高信頼性の技術を活用するとともに、坂内特任教授による助言を生かし、実現したという。

 発売は9月頃を予定しており、価格は約20万円としている。