飛行中のドローンと自動飛行のルート
飛行中のドローンと自動飛行のルート
(出所:東芝)
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発電所までの山岳道路を空撮
発電所までの山岳道路を空撮
(出所:東芝)
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 東芝は6月30日、情報通信機器を手掛けるアルパインと共同で、ドローン(無人小型飛行体)を応用した、水力発電所のダム・河川のインフラ点検サービスの実用化に向けた実証実験を実施したと発表した。

 両社は、2016年9月に、ドローンを使ったサービス事業で提携しており、その一環としている。

 今回の水力発電インフラに関する実証は、東北自然エネルギー(仙台市)と共同で実施した。東北自然エネルギーは、東北電力グループの再生可能エネルギー発電事業者で、水力のほか、太陽光・風力発電所を運営している。

 水力発電所では、発電設備の安全を確認するために、定期的に巡視点検が実施されている。この際、豪雪地域では、雪崩による危険を伴う課題があった。

 ドローンを活用することで、点検作業におけるこうした危険を減らし、安全性を向上できる可能性がある。

 今回の実証実験では、新潟県阿賀町にある東北自然エネルギーの水力発電所「新下平発電所」(出力17.7MW)に通じる山岳道路において、除雪前における道路の安全確認を想定した長距離の飛行を実施した。

 長距離の飛行は、ドローンの飛行担当者が目視で確認できない場所まで飛んでいくことから、近隣を飛ぶ場合に比べて課題が多くなる。

 また、山岳地域は、高低差の大きい地形が連続している。上空から地上施設などの様子を把握しようとしても、樹木などが覆って上空から対象施設を特定できない場合も多い。

 このため、三次元の地図情報から飛行航路を設計することで、飛行担当者が手動のコントローラを使って操縦せずに、約6kmの距離を自動飛行した。この飛行時の対地高度(地面から飛行中の機体までの高さ)は、100mだった。

 将来的には、今回のような目視で確認できる範囲外での飛行距離を伸ばしていくとともに、ドローンで空撮したダムや発電所などの画像から、東芝の画像処理や機械学習などの技術を使って損傷部分を特定するサービスを提供することで、効率的な点検作業に寄与したいとしている。

 また、実証実験で得たデータを活かし、産業向けのドローン応用サービスの実用化に向けて、より安全な飛行技術を確立していくという。