京セラは、脱毛症治療に使う移植用組織の量産装置の開発を理化学研究所などと始めた。プリンターヘッドやセラミックス製品で培った微細加工技術とその量産技術を使い、2020年にも実用化する。
開発する移植用組織は、毛包原基と呼ばれる器官である。毛包原基は、皮膚に移植すると髪を生やし続ける機能をもつ。患者本人の後頭部などから採取したわずかな頭皮細胞を基に、京セラの量産技術で毛包原基を体外で“増産”し、既存の毛包移植と同様の方法で毛のない頭部に移植する。
毛包細胞は100倍に増やせるため、治療に使う毛髪の1/100程度の本数が得られる頭皮があれば十分という。頭頂部の脱毛治療で1万本程度の毛髪を使う場合、後頭部から1cm2未満の面積の頭皮を採取するだけでよい。既存の移植治療法(自家単毛包植毛手術など)と比べて、頭皮採取時の患者負担が少ない。