地域電力会社による電力調達・販売のイメージ
地域電力会社による電力調達・販売のイメージ
(出所:香取市・成田市)
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出力1.75MWの「香取市与田浦太陽光発電所」
出力1.75MWの「香取市与田浦太陽光発電所」
(出所:香取市)
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「成田富里いずみ清掃工場」
「成田富里いずみ清掃工場」
(出所:富里市)
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成田香取エネルギーの事業スキーム
成田香取エネルギーの事業スキーム
(出所:香取市・成田市)
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 千葉県の成田市と香取市、洸陽電機(神戸市)は7月5日、地域電力会社、成田香取エネルギー(香取市)を設立し、設立協定書の調印式を開催したと発表した。香取市が運営する太陽光発電と、成田市の持つごみ発電設備から電源を調達し、両市の公共施設に電力を供給する。2つの市が共同で地域電力会社を設立するのは国内で初めてとなる。

 エネルギーの地産地消を達成するとともに、両市にとっては、電気代削減と売電収入の増加によって、財政的なメリットがあるとみている。

 洸陽電機は、2市が共同で公募した「地域電力会社共同出資者選定事業」のプロポーザルに採択され、地域新電力の共同出資者および共同事業者として事業運営に参画する。出資比率は、両市が40%ずつ、洸陽電機が20%となる。

 香取市は、市有地など5カ所に合計出力4.25MWの太陽光発電所を建設し、運営している。最大規模の施設は、出力1.75MWの「香取市与田浦太陽光発電所」で、2014年3月に発電を開始した。太陽光パネルはシャープ製、パワーコンディショナー(PCS)は、東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製を採用した。

 一方、成田市は、隣接する富里市との共同事業で「成田富里いずみ清掃工場」を整備しており、2014年10月に稼働した。シャフト式のガス化溶融炉で、排熱を利用した出力3MWのごみ発電設備を備えている。

 成田香取エネルギーは、両市のごみ発電と太陽光発電から電力を調達し、両市の公共施設に供給する。洸陽電機を代表とするバランシンググループに参加し、同社が需給バランスを管理する。ごみ発電と太陽光発電で不足する分は、他の太陽光発電所や卸電力取引所(JEPX)から調達して賄う。

 事前の事業性評価では、契約電力1万5000kWで、年間1700万kWhを供給することを想定しており、内訳は太陽光500万kWh、ごみ発電500万kWh、その他・外部調達700万kWhという電源構成比率になると見込んでいる。地産エネルギー比率は約6割となる。

 成田香取エネルギーは、両市の発電設備から従来よりも高い単価で電気を買い取る一方、両市の施設に対しては、従来よりも安い単価で電力を販売できるめどがたったという。このため、両市にとって財政的なメリットが大きいと試算している。