東京電力ホールディングスは2017年7月10日、ドイツの大手電力会社innogy社と共同で、ブロックチェーン技術を活用した電力直接取引(P2P)プラットフォーム事業を開始したと発表した(東京電力HDのニュースリリース)。東京電力HDは、innogy社が2017年5月に設立した事業会社Conjoule社に300万ユーロ(約3.6億円)を出資しており、Conjoule社の株式30%を保有する。

■P2P電力取引プラットフォーム事業の概要(東京電力HDのニュースリリースより)
■P2P電力取引プラットフォーム事業の概要(東京電力HDのニュースリリースより)
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 innogy社は、2015年からドイツ・エッセンにおいて、ブロックチェーンを活用した取引の有効性などを検証するP2Pプラットフォームの実証事業を、一般家庭や地元企業と共に実施してきた。このほど事業化の見通しを得たことから、東京電力HDと共同でConjoule社を設立し、本格展開を開始する。

 同事業は、ドイツの電力消費者とプロシューマー(太陽光発電などの発電余剰分を売電する生産消費者)に対して、電力を直接取引するプラットフォームを構築・提供する。ドイツでは、太陽光発電の増加や電力の地産地消の機運の高まりなどにより、プロシューマーと利用者との直接電力取引への期待が拡大している。

 ブロックチェーンなどの先端ITの進展やP2P電力取引の拡大などによって、将来的に電気事業の構造が大きく変革する可能性がある。東京電力HDは、今回の出資を通じて新業態の創出にチャレンジするとともに、日本国内での事業展開を視野に、ブロックチェーンを用いた事業構築・運営などの知見を獲得していく。