再エネ大量時代における政策課題の検討に当たっての前提
再エネ大量時代における政策課題の検討に当たっての前提
(出所:経産省)
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 経済産業省は7月4日、「再生可能エネルギーの大量導入時代における政策課題に関する研究会」(略称:「大量導入検討会」)の最終回となる第5回会合を開催、「これまでの論点整理(案)」を公表した。

 同研究会は、固定価格買取制度(FIT)の後も睨み、再エネを大量導入していく上での障害や課題を整理し、その解決の方向性について議論するのが目的。今回の論点は、今後開催される再エネ政策に関する審議会や調達価格等算定委員会、電力広域的運営推進機関での制度検討などに引き継がれる。

 「論点(案)」は、「コスト競争力の強化」「FITからの自立に向けた施策」「系統への円滑な受入れのための施策」「適切な調整力の確保」の4項目で整理された。

 このうち「FITからの自立」と「系統への円滑な受入れ」では、今後の政策について具体的な政策手法に言及した。前者では、「フィード・イン・プレミアム:Feed-in Premium(FIP)」と「セントラル方式」、後者では、「日本版コネクト&マネージ」だ。

 「FIP」は、再エネ電力を卸電力市場を通じて販売する際、卸価格にプレミアムを上乗せして補填する仕組みで、欧州各国でFIT後の再エネ推進策として導入された経緯がある。今後でも、自家消費できない野立て型太陽光の推進策として有力になりそうだ。

 「セントラル方式」とは、政府などが再エネの導入量・エリアを明確化し、環境アセスメントや系統接続などの立地調整を主導することで、事業者のリスクを軽減する仕組み。欧州では、洋上風力で導入され、コスト低減を促したとされる。日本でも、洋上風力について、同方式が検討される可能性がある。

 「コネクト&マネージ」とは、ローカル(地内)系統制約への対応方法で、現在の日本で導入している「先着優先」(系統の空き容量の範囲内で先着順に受け入れる制度)ではなく、混雑時の出力抑制など、一定の条件下で接続を認める仕組み。

 論点整理(案)では、「日本版コネクト&マネージの仕組みの具体化に向け、検討を進める必要がある」とし、3つの検討項目まで明記した。今後、電力広域的運営推進機関での検討会を中心に制度設計が進みそうだ。

 このほか、注目されるのは、出力制御ルールの再検討に言及したこと。論点整理のなかで、「エリアごとに『30日等出力制御枠』を設け、これを境として『30日以内』と『無制限無補償』の事業者を区分するという現在の仕組みは、今後さらに大量導入が進むなか、公平性、効率性、系統の最大活用などの観点から、ほかにオプションがあるか検討することが必要」としている。

 九州電力と四国電力による本土での出力制御に現実味が出てきたなか、「大量導入時代」における出力制御のあり方に関して、再検討が始まる可能性がある。