完成した日本の窓・十和田工場
完成した日本の窓・十和田工場
(出所:日経BP)
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イタリア製の最新鋭の製造機械を導入
イタリア製の最新鋭の製造機械を導入
(出所:日経BP)
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ガラス塗料の吹き付け塗装の乾燥工程
ガラス塗料の吹き付け塗装の乾燥工程
(出所:日経BP)
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 都内を中心に注文住宅などを展開する東京組(東京都世田谷区)は、青森県十和田市に木製サッシ工場を建設した。同社グループで、木製サッシの製造・販売を手掛ける子会社、日本の窓の「十和田工場」で、7月中には本格的な生産に移行する。

 東京組は、十和田市内に自然体験施設を持つとともに、その周辺に合計6サイト・合計出力約10.5MWの太陽光発電所を建設・運営している(関連記事) 。木製サッシ工場は、そのうちの1つ、「オオタ牧場太陽光発電所」(1.8MW)の隣接地に建設した。

 同社は、デザイン性の高い住宅を特徴としており、今後、自社グループ製の木製サッシを積極的に住宅設計に採用するとともに、地域経済の活性化にも貢献する。

 「木製サッシ」とは、窓枠の材料にアルミニウムでなく、木材を使ったもので、デザイン性とともに省エネ性能が高いのが特徴。木はアルミに比べ、熱を通しにくいため、暖房や冷房時の熱損失が大幅に減る。先進国では、省エネの観点から木製サッシの採用が進んでおり、サッシ市場に占めるアルミ比率を見ると、米国で16%、ドイツで21%、フランスで34%まで下がっているほか、米国では24州でアルミサッシは禁止されているという。

 十和田市の木製サッシ工場では、青森県と連携しつつ、県内産のスギを活用する。集成材のほか、無垢材の活用も検討しており、窓枠の形状に加工し、木製サッシに組み立てる。耐水性を高めるため、表面にガラス塗料を塗って仕上げる。イタリア製の木製サッシ加工機械を導入し、金具などは量産の進んだ海外製を使う。

 今年2月に地元から約20人を製造管理者として採用した。フル生産に移行すれば、1日3~3.5棟分(60窓)、年間で約1000棟分(1万5000窓)を生産する計画だ。

 東京組では現在、グループ企業も合わせて年間に約3000棟を手掛けており、まず、そのうち約1000棟への木製サッシの採用を見込んでいる。

 これまでも外材を使って国内で木製サッシを製造する企業はあったが、価格はアルミサッシの2.5~3倍だったこともあり、普及しなかった。十和田市の新工場では、県から全面的な支援を受けてスギ材を調達できることに加え、生産の効率化によって、準防火地域向け製品の場合、アルミサッシより低価格で木製サッシを提供できるめどが付いたという。

 東京組は、メガソーラーの建設に際しても、実際の土木や電気設備工事をすべて地元企業に発注し、日常のO&M(運営・保守)に関しても地元の人材を積極的に活用するなど、地域の雇用に配慮してきた。メガソーラーに隣接した木製サッシ工場の建設によって、地域資源と人材の活用がさらに進むことになる。