従来機種が“ガラケー”なら、新機種は“スマートフォン”――。GEヘルスケア・ジャパンは2017年7月7日、携帯型超音波診断装置「Vscan」シリーズの新機種「Vscan Extend」を発売する。タッチスクリーン機能を備えた5型液晶ディスプレーやWi-Fi機能を搭載し、スマートフォンのような操作性を実現。起動時間も最短1秒に短縮した。急性期医療や在宅医療を含むプライマリケアに向ける。

Vscan Extendを手にするGEヘルスケア・ジャパン 代表取締役社長兼CEOの多田荘一郎氏
Vscan Extendを手にするGEヘルスケア・ジャパン 代表取締役社長兼CEOの多田荘一郎氏
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 7月6日に東京都内で開催した新製品発表会では、GEヘルスケア・ジャパン 代表取締役社長兼CEOの多田荘一郎氏が登壇(関連記事1)。Vscanは、同氏が超音波診断装置事業を担当していた2010年10月に初号機を発売した製品で、日本での累計販売台数は5200台を超えた(同2)。「地域別に見て、Vscanは日本で最もよく使われている。日本の課題やユーザーの声が設計に盛り込まれている点が、Vscanの特徴だ」(多田氏)。

 Vscan Extendは「ハードウエアとしては、かなり革新的な技術を搭載した製品」(GEヘルスケア・ジャパン 超音波本部 プライマリケア部 部長の清水俊博氏)。本体の液晶ディスプレーを従来の3.5型から5型へ大型化し、視認性を向上。タッチスクリーン方式を採用し、スマートフォンのように直感的に操作できるようにした。本体寸法は168mm(縦)×76mm(横)×22mm(奥行き)で、重さはプローブを含めて441gと従来機種並みである。

循環器診療での利用シーンを実演する東京ベイ・浦安市川医療センター ハートセンター長の渡辺弘之氏
循環器診療での利用シーンを実演する東京ベイ・浦安市川医療センター ハートセンター長の渡辺弘之氏
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在宅・訪問診療/産婦人科/循環器領域の臨床医3人が登壇し、Vscanの有用性などを語った
在宅・訪問診療/産婦人科/循環器領域の臨床医3人が登壇し、Vscanの有用性などを語った
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 従来は30秒ほどだった起動時間は、最短1秒(待機状態となってから10分以内の起動時)に短縮した。「救命救急などの場面で、なるべく早く診断をしたいというニーズに応えた」(清水氏)。Wi-Fiによる無線通信機能も備え、DICOM規格の画像データをサーバーへ転送できる。2017年9月以降にはクラウドサービスにも対応予定で、複数の医療従事者間などで画像を共有できるようになる。

 プローブには、2014年6月発売の「Vscan Dual Probe」に搭載した2 in 1方式を採用(関連記事3)。二つの探触子を搭載したプローブで、深部臓器と表在臓器の両方を描出できる。診断支援アプリケーションに関しては、残尿量を半自動計測する機能などを新たに搭載した。