杭の支持力性能試験(左)、架台の耐風圧性能試験(右)のイメージ
杭の支持力性能試験(左)、架台の耐風圧性能試験(右)のイメージ
(出所:NEDO)
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移動式PVラボのイメージ
移動式PVラボのイメージ
(出所:NEDO)
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 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は6月28日、太陽光発電に関するプロジェクトとして、五つのテーマを新たに採択したと発表した。

 「設計や維持管理の安全確保」(3件)と「使用済みの太陽光パネルのリユース技術」(2件)がテーマとなる。太陽光発電の大量導入時に必要な、長期信頼性の向上や、循環型の経済システムの構築に寄与するとしている。

 「安全確保のための実証」の3件は、2014~18年度の太陽光発電システム効率向上・維持管理技術開発プロジェクトの研究開発項目として、2016~18年度に実施する。

 不十分な設計や施工により、太陽光パネルが強風で飛ばされたり、水害時に水没したパネルによる感電といったリスクが懸念される中、太陽光発電システムの安全確保のため、基準となる設計や施工、災害対応をまとめた指針を作成し、周知していく。

 このため、今回は、太陽光発電システムの構造や電気の安全に関する調査、研究、実証実験を通じて、安全確保のための設計ガイドラインを作成する。

 採択したテーマは、「太陽光発電設備の安全化に関する実証試験および研究」(委託予定先:産業技術総合研究所)、「耐風安全性および水害時感電防止を考慮した合理的設計手法の開発」(太陽光発電協会、奥地建産)、「太陽光発電システムの災害被害の把握と火災・感電防止技術の開発」(太陽光発電所ネットワーク)である。

 このうち、太陽光発電協会と奥地建産が取り組む「耐風安全性および水害時感電防止を考慮した合理的設計手法の開発」は、杭基礎の支持力や、架台の耐風圧性能を実証試験し、設計ガイドラインや安全マニュアルをまとめる。

 「使用済み太陽電池モジュールの低コストリユース技術の開発」の2件は、2014~18年度の太陽光発電リサイクル技術開発プロジェクトの研究開発項目として、2016~18年度に実施する。

 太陽光発電の大量導入後には、使用済みの発電システムが大量に発生することが予想される。これまで取り組んできた低コストのリサイクル処理技術に加え、今回は、回収、運搬、分別、修復など、使用済みの発電システムを適切に処分する技術、使用済みパネルをリユースする技術を開発する。

 採択したテーマは、「On-Siteでのリユースモジュール分別技術の開発」(委託予定先:太陽光発電技術研究組合)、「使用済み太陽電池モジュールの低コスト修復技術の開発」(ジー・エム・ジーエコエナジー)となる。

 このうち、太陽光発電技術研究組合が取り組む「On-Siteでのリユースモジュール分別技術の開発」では、太陽光パネルを解体した現場において、短時間で高精度に分別する技術を開発する。解体現場のさまざまな環境条件下において、パネルを使用状態ごとに分別できるように、簡便な電気安全性判定技術などを開発する。

 開発した分別のための技術は、「移動式PVラボ」と呼ばれるトラックに組み込み、解体現場で実施できるようにすることで、パネルの運搬や梱包のコスト低減、分別に要する処理時間の短縮につなげる。