エネルギー関連の市場調査などを手掛けている台湾EnergyTrendは6月29日、2017年第3四半期における太陽光パネルの市場見通しを発表した。

 EnergyTrendは、2017年7月にはサプライチェーン全体で太陽光パネルの価格が下落するが、その下落ペースは昨年の同時期ほど急速ではないと予測している。

 理由としては、まず6月に中国政府が実施予定の全般的な補助金削減に関して、一時的に猶予を与えられたプロジェクトがあることを挙げている。また、中国では「トップランナー・プログラム」や「太陽光貧困撲滅プロジェクト」によって設置される太陽光パネルが、太陽光発電の需要を下支えしているという。

 これらの要因によって、中国における第3四半期初めの価格下落は穏やかになると見ている。

 もう一つの理由は、この4月に経営破たんした太陽光パネルメーカーの米Suniva社が、米国際貿易委員会(ITC)に訴えていた申し立ての影響である。この申し立てにより米国からの太陽光パネルの発注が急増したため、第3四半期の価格下落は当初の予想よりも穏やかになるとみている。

 Suniva社は4月末にITCに国外からの輸入パネルに対する救済策を申請していた。具体的には、輸入される太陽電池セルと太陽光パネルの全品に対して米政府が関税と最低輸入価格を課すべきというもの。

 ITCによる判断が公式に発表されるのは今年9月だが、現トランプ政権が保護主義的な政策を打ち出していることもあり、太陽光パネルの供給業者や太陽光発電事業者はパネルの買いだめや発注の前倒しに躍起になっているという。

 さらに、EnergyTrendは第3四半期のグローバル市場における設備稼働率を60%から80%へと上方修正した。

 太陽光発電産業における、これらのグローバルな要因より、太陽光パネルの価格は、2017年後半に向けて、当初の予測ほど急落しないとしている。