スペイン・セビリアへの着陸に備えるSi2
スペイン・セビリアへの着陸に備えるSi2
(出所:Solar Impulse)
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Si2を主導するボルシェベルグ氏とピカール氏
Si2を主導するボルシェベルグ氏とピカール氏
(出所:Solar Impulse)
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 「ソーラーインパルス2(Solar Impulse 2: Si2)」は、20日午前2時30分(米国東部夏時間)にニューヨークのジョンF.ケネディ国際空港を出発し、23日の午前7時38分(中央ヨーロッパ夏時間)、スペイン・アンダルシア州セビリア(Sevilla)のセビリア飛行場に到着した。

 今回の約71時間にわたる飛行でSi2は、最難関の太平洋に次ぐ難所とみられていた大西洋横断を完了した。飛行距離は6765km、最高高度は8534m、平均航行速度は95.1km/hだった。太陽光発電による電気だけをエネルギー源とする飛行機による史上初の大西洋横断飛行という世界記録を作った。

 Si2はスイスのプロジェクトで、化石燃料を一滴も使用せずに太陽光のエネルギーだけで世界を一周する飛行に挑戦中である(関連記事1)(関連記事2)(関連記事3)。6月11日に北米大陸の横断を完了して東海岸の米ニューヨークに到着、大西洋横断に備えていた(関連記事4)。

 大西洋横断の成功を受け、ソーラーインパルスの共同創設者で最高経営責任者(CEO)兼操縦士のアンドレ・ボルシェベルグ(Andre Borschberg)氏は、「ソーラーインパルスは省エネやスマートなエネルギー管理の実証であり、『空飛ぶスマートグリッド』のようなものだ」と述べ、クリーンエネルギー技術の可能性を強調した。

 さらに、同プロジェクトを主導するボルシェベルグ氏とベルトラン・ピカール(Bertrand Piccard)氏は、今後の活動として「クリーンテクノロジー国際委員会(International Committee of Clean Technologies)」という新組織を創設する意向を明らかにした。

 今後、Si2は世界一周飛行を完遂させるために、出発地点のアラブ首長国連邦(UAE)・アブダビへと飛行を続ける予定。大西洋横断を無事に乗り切ったことで、今年中にプロジェクトが完結する可能性が高まっている。