米国の電気自動車(EV)ベンチャーであるTesla Motors社は21日、太陽光発電サービス大手であるSolarCity社に対して買収提案を行ったことを同社サイトの公式ブログ上で発表した。

 Tesla社は2015年3月にエネルギー事業「Tesla Energy」を立ち上げ、「Powerwall」と「Powerpack」いう定置型蓄電池を発表。SolarCity社にもそれらの蓄電池を供給するなどの形で、既に協業を進める方針を明らかにしていた。

 今回の買収提案により、Tesla社は太陽光発電から蓄電池、EVといった再生可能エネルギー関連製品ラインの垂直統合を目指すとしている。

 Tesla社は、SolarCity社を統合することで株主、顧客、従業員のすべてに大きな利点があるとする。

 具体的には、「統合後のTesla社は世界で唯一、クリーンエネルギー関連製品を垂直統合しつつ、顧客に提供できる企業となること」「両社が別々に取り組むよりも顧客獲得や市場拡大の面で有利なこと」「各社のコアとなる競争力を最大化し、さらに増大できること」などを挙げている。

 同ブログでは、Tesla社がSolarCity社のLyndon Rive最高経営責任者(CEO)に送った書簡のコピーを公開し、買収金額や条件なども示した。

 それによると、同社はSolarCity社の普通株の1株に対して0.122倍から0.131倍のTesla社の普通株を交換するという条件で買収を提示している。この交換比率とSolarCity社株式の21日の終値(21.19ドル)から算出した株式交換の価格は、1株あたり26.50ドルから28.50ドル。この価格は、SolarCity社の株価に約21%から30%、最大で35%のプレミアムを付加した額となる。

 SolarCity社の21日の株価終値に基づく時価総額は20億8000万ドルであり、プレミアムを考慮すると約28億ドル(日本円換算で約2900億円)での買収となる可能性が高い。

 Tesla社によるSolarCity社の買収提案は、同社のElon Musk会長兼CEOが主導しているとみられ、Tesla社の取締役会は既に承認したとしている。

 Musk氏はSolarCity社の会長かつ22%の株式を保有する筆頭株主であり、Lyndon Rive CEOとは従弟の関係にある。今回のTesla社による買収提案に対し、22日現在の時点でSolarCity社からの公式発表などはない。

 Tesla社の意図はSolarCity社の買収を「友好的に(friendly)のみ進める」ものとしている。だが、今回の買収を同社のみ単独で発表した経緯からは、機先を制して主導権を握り、買収交渉を有利に進めたいとの思惑などもありそうだ。