「わすれなびと」の運用イメージ
「わすれなびと」の運用イメージ
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 東京大学医学部附属病院 神経内科 教授の辻省次氏と同講師の岩田淳氏、エーザイ、ココカラファインは、認知症・軽度認知障害の患者とその家族向けのICTコミュニケーションツール「わすれなびと」のパイロットスタディ(予備的臨床研究)を開始した。期間は1年半を予定する。

 わすれなびとは、エーザイとココカラファインの監修のもと、東大病院がインターネットイニシアティブの協力を得て医療情報向けクラウドサービス上に開発した、認知症患者向けのICTによるコミュニケーション環境。今回のパイロットスタディでは、参加登録した患者とその家族にタブレット型端末が貸与され、インターネットを通じて提供されるわすれなびとの機能を利用できる。

 わすれなびとの機能として、東大病院で実施された画像診断・認知機能検査・血液検査などの結果を、病院の外でも閲覧できる。過去データとの比較にも対応する。さらに、東大病院の主治医や薬剤師にメッセージを送ることで、外来時間外でも対話できる。

 また、自宅にココカラファイングループの薬剤師が訪問して服薬を支援する。そのほか、タブレット型端末に一定の頻度で表示されるアンケートに答えることで日常の様子を記録でき、次回の外来診療の質向上に役立てられる。これにより、患者やその家族だけでなく、主治医や薬剤師、医療・介護施設のスタッフが患者の認知症の進展や体調をより正確に把握し、関係者間のコミュニケーションの広がりから課題の早期解決を目指す。