日本医師会と経済産業省が、臨床現場のニーズをくみ取った医療機器開発に向けてタッグを組む。「医師主導による医療機器開発のためのニーズ創出・事業化支援セミナー」を、2016年6月~2017年2月に全国6カ所で開催。両者が協力し、全国の臨床現場に眠るアイデアを掘り起こす。

 第1回のセミナーを、2016年6月11日に東京都内で開催。登壇した日本医師会 常任理事の羽鳥裕氏が、セミナーの開催趣旨などを説明した。

講演する羽鳥氏
講演する羽鳥氏
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 日本医師会は2015年6月、政府の「日本再興戦略 改訂2015」を受けて「医師主導による医療機器の開発・事業化支援事業」を立ち上げた。日本発の医療機器の創出に向けて、医師のアイデアを募集・登録しその案件の“目利き”を行ったり、案件を日本医療研究開発機構(AMED)に橋渡ししたりするのがそのミッションだ。

 医療機器開発に向けた医師のアイデア募集では、2016年6月までの1年間で100件の登録があったという。治療系が57件、診断系が37件といった内訳で「iPhoneなどのスマートフォンを使った診断機器の提案もあった」(羽鳥氏)。

 こうした提案の中から、製品化につながりそうなものをAMEDに橋渡しするのが支援事業の構想。だがAMEDは2015年4月の発足以降、さまざまな医療機器開発を支援しているものの「医師のニーズとは必ずしも合っていない側面もあった」(羽鳥氏)。そこで、医師とものづくり企業が臨床現場の実態を踏まえた上で、緊密に連携しながら医療機器開発を進められるように「両者の接点を増やしたい」(同氏)との狙いが医師会にはある。そこで企画したのが、今回のセミナーだ。

 セミナーは、医師会員を中心に非会員や大学、医療機器メーカー、弁理士会などにも参加を呼びかけ、日本発の医療機器開発の促進に向けた方策を展望するとともに、臨床のニーズやアイデアを発掘・収集する。講演やパネルディスカッション、個別相談などのプログラムを用意。2回目以降は神奈川県、宮城県、埼玉県、兵庫県、福岡県を巡回予定だ。