日本の再エネ比率はベスミックス目標を超える

 その一方、石炭火力については、2040年までに欧州の石炭使用量は87%減少、米国では51%減少する。中国の石炭火力の電力量は、この10年で20%増加するが2026年をピークに減少に向かう。世界全体では、369GWもの新設石炭発電所プロジェクトが中止される。また、一般炭の世界需要は2040年までに15%縮小する見通し。

 ガス火力は、8040億ドルの新規投資を受け、2040年までに容量ベースで16%増加する。石炭火力代替のベースロード電源用途ではなく、再エネ中心の時代においてシステム安定化をもたらす調整電源のひとつとしての役割を担う。なお、ガスが豊富で安価な米大陸では、短期的にはベース電源としての役割も担うことになるという。

 電力業界全体のCO2排出量は、ピークとなる2026年までに10%増加。その後、急速に低下し、2040年までには2016年のCO2排出量の4%以下になると予測する。しかし、世界の平均気温が2℃以上上昇するのを防ぐには、さらに5兆3000億ドルにおよぶ3.9TW規模のゼロカーボン発電設備への投資が必要になると試算する。

 各国の2040年までの再エネ導入率は、ドイツは74%、中国は55%、インドは49%、米国は38%に達する見通し。米国は、トランプ政権が石炭産業を支援すると声明を出したものの、今後20年間の長期予測では、2040年までに石炭火力は51%削減される見込み。石炭の代わりに、ガス火力が22%、再エネが169%増加すると予測する。

 日本では、政府の2030年エネルギー基本計画で、電源構成のうち再エネ22~24%を政府目標に掲げている。しかし、BNEFでは、主に太陽光の増加により、目標以上の高い導入率になると予測する。その一方、東日本大震災に伴う石炭火力への依存の高まりと原子力発電の再稼働の遅延により、パリ協定の2030年CO2排出削減目標の達成は遅れると予想する。2030年の電源構成は、石炭が38%(政府目標は26%)、原子力は10%(同21%)の見込みで、OECD諸国で日本と韓国のみが長期的に石炭火力への依存を高めているという。