バガスエタノール製造プラント
バガスエタノール製造プラント
(出所:月島機械)
[画像のクリックで拡大表示]

 月島機械は6月2日、JFEエンジニアリング(東京都千代田区)と共同で、タイのサラブリ県にバイオエタノール製造プラントを建設し、サトウキビの搾りかす(バガス)を原料にしたバイオエタノール製造技術を実証するとともに、技術面や採算面で実現可能な商業生産モデルを構築したと発表した。

 バガスなどのセルロース系バイオマスから効率的にエタノールを生産するには、その主成分である繊維を糖に分解する酵素(セルラーゼ)が不可欠となる。しかし、酵素は高価なためエタノールの製造コストの4分の1から、2分の1を占め、これらの費用を低減することが普及するうえで最重要の課題だった。

 今回、酵素をエタノール生産設備内で生産する技術を実証し、酵素をタイ国内で調達する場合と比べて酵素の費用を5分の1以下に削減できることを確認した。これをもとに商業モデルを検討した結果、タイ政府が示す参考価格である26THB/Lに対して十分採算性が得られるコストで製造可能と結論付けた。

 また、酵素生産を効率的に行うため、月島機械が産業技術総合研究所(産総研)と共同開発した有用菌(Acremonium cellulolyticus C-1株)の培養条件を確立した。季節変動によるサトウキビおよび副産物のバガスの成分変化に対応するため、運転条件を季節によって最適化させ、年間を通じて安定的に運転できるよう商用機の設計に反映した。

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の実証事業として実施した。実証用のバイオエタノール製造プラントの事業期間は2012~2017年。年間1300tのバガスを処理し、バイオエタノールを年間100kl生産した。予算規模は約12億円(うちNEDO負担が約10億円)。

 今回実証したバイオエタノール製造技術の有効性について広く周知するため、6月1日にバンコク市内で開催された普及セミナーにおいて、バガスエタノール事業者となり得る精糖産業関係者などに技術紹介した。今後、タイなど東南アジア地域への普及・拡大を目指すとしている。