「今、第2ラインの設置を急ピッチで進めているところ。2017年11月には稼働する予定だ」。愛知県岡崎市にある花園工場で、ジェイテクト執行役員の木村勉氏は手応えを口にした。新開発したラックパラレル式と呼ばれる電動パワーステアリング(EPS)の受注が好調に伸びているという(図1)。

図1 ジェイテクトが開発したラックパラレル式EPS
図1 ジェイテクトが開発したラックパラレル式EPS
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 ラックパラレル式EPSは、ステアリング操舵力を支援するモーターと減速機をラック軸と平行に配置する方式。ドイツのBosch社やZF社などが先行していたが、ジェイテクトは2016年12月に量産を開始した(関連記事:ジェイテクト、2016年末にラックパラレル式EPSの量産開始)。同社のラックパラレル式EPSを最初に採用したのは、トヨタ自動車の新型スポーツクーペ「レクサスLC」である(関連記事:新車レポート「レクサスLC」)。

 筆者が花園工場を取材で訪れたのは2017年6月上旬で、ラックパラレル式EPSの第1ラインが休むことなく動き続けていた(図2)。現在の生産能力は月間1万4000個で、トヨタが設定したレクサスLCの月間販売目標である550台に比べてケタ違いに多い。レクサスLCと同じプラットフォームを使う新型セダン「レクサスLS」への搭載は容易に想像できるが、他のトヨタ車への採用も順調に決まっているようだ(関連記事:レクサスは“ジャーマン3”を追わず)。

図2 花園工場のラックパラレル式EPSの生産ライン
図2 花園工場のラックパラレル式EPSの生産ライン
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