経済産業省は6月10日、再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会を開催し、固定価格買取制度(FIT)の抜本的な見直しに関し、論点整理とIEA(国際エネルギー機関)からの提言を受けるなど、今後の方向性を示した。

 論点整理では、これまでも指摘されてきた「さらなるコストダウンと国民負担の抑制」に加え、「電力システムとの統合」が強調された。具体的には、FITによる再エネ発電事業者は、「自由化された電力市場でも、インバランス特例によって調整責任を負わない仕組みになっている」「買取義務によって売れ残りリスクを回避する仕組みになっている」など、「電力市場から隔離されている」ことの問題点を指摘する一方、「限界費用ゼロの再エネは論理的にはスポット市場で必ず約定できる」と分析している。

 一方で、FIT制度を早く取り入れた諸外国では、再エネの市場統合を目的に「FIP(フィード・イン・プレミアム)」制度に移行している例が示された。FIPとは、再エネ発電事業者が電力卸市場への売却など市場価格で電力を販売する場合、プレミアムを上乗せする方式。売電単価に市場変動の要素を加味しつつ、プレミアム分を支援する。

 FIP制度は、2015年に改正FITを検討する有識者会議でも、事務局が選択肢の1つとして示したものの採用は見送られ、「入札方式」が導入された経緯がある。その後、大規模案件への入札制度の導入でコスト低減に一定の成果があった一方、太陽光の大量導入が進む中で、需給バランスを担っている一般送配電事業者の調整負担が増し、FITインバランス特例によって調整コストを負わないFIT再エネ事業者の扱いが課題になっていた。

 今回公表された論点整理から、「抜本見直し」のあり方として、(1)現制度の送配電事業者の買取義務から、電力小売事業者との相対取引や電力市場への売却など、再エネ事業者が売電先を選択する。(2)「FITインバランス特例」を廃止して、再エネ事業者も調整負担を負う、という方向性が見えてきた。