ノルウェーの第三者調査機関であるDNV GL社は5月19日、太陽光パネルの信頼性調査結果をまとめた報告書「PVモジュール信頼性スコアカード」の2016年版を公開した。

 同調査は、太陽光パネルの長期間にわたる信頼性データが一般に入手可能な形でほとんど存在しないという課題に応えるものとしている。2014年に初回を実施しており、今回が2回目の調査となる。

 太陽光パネルに期待される信頼性と長期間にわたる性能を質的に比較するためのツールとして役立つことを意図して作成されるという。調査結果は、金融機関、ディベロッパー、独立系のエネルギー事業者などが投資事業のために太陽光パネルを評価するうえで役に立つ情報を提供するとしている。

 今回の調査では、項目により17社から22社の太陽光パネルで評価を行った。この中には、世界の太陽光パネル市場の10大メーカーの半分以上が含まれるという。調査対象となる太陽光パネルは、すべて一般に入手可能な市販の製品であり、必要な安全基準に準拠するもの。

 DNV GL社は、長期にわたる劣化や信頼性に影響を与える主要な要因について試験を行った。具体的には、温度サイクル、動的機械加重、高温高湿、結露凍結、PID(potential Induced Degradation、潜在的に誘発される出力低下)の5つである()。

 今回の調査でまず分かったこととは、多くの太陽光パネルが全試験で良好な結果となったことだという。

 例えば、温度サイクル試験ではIEC(国際電気標準会議)による試験と比較して4倍のサイクルと、より過酷な試験を行ったが、8社の太陽光パネルが3%未満の劣化しか示さなかったという。IECの温度サイクル試験では、合否判定の基準は5%である。

 また、京セラと中国Phono Solarの2社の太陽光パネルは全試験でトップのグループに入った。京セラの太陽光パネルは、前回に続き今回も全項目でトップ・パフォーマーの認定を受けている。

 トップグループに入った太陽光パネルの55~60%は中国製であった。同調査における太陽光パネルのうち、ほぼ同じ割合が中国製の太陽光パネルであったことから考えると、パネルの製造地は信頼性と直接の関係がないことを示すとしている。

温度
サイクル
動的
機械荷重
結露凍結 高温高湿 PID
(-1kV)
試験対象
メーカー数
19 17 18 21 22
トップ判定の閾値(劣化率 [%]) -1.50 -0.50 -0.50 -1.00 -0.50
最高位の結果 [%] -1.07 -0.18 -0.13 -0.57 -0.47
最低位の結果 [%] -34.59 -7.28 -4.10 -58.77 -58.27
中央値 [%] -4.68 -1.55 -2.30 -3.59 -2.69
標準偏差 [%] 7.29 1.98 1.11 14.86 18.60
トップ・
パフォーマー
京セラ
Phono Solar
京セラ
Phono Solar
RECOM
Tenksolar
京セラ
Tenksolar
京セラ CSUN
Hanwha
JA Solar
京セラ
Phono Solar
REC
RECOM
表 DNV GLによる太陽光パネル信頼性調査結果の要旨
(出所: 「PVモジュール信頼性スコアカード」2016年版を基に日経BPクリーンテック研究所が作成)