米国のスポーツ・娯楽事業大手であるMonumental Sports & Entertainment(MSE、本社:ワシントンDC)社とエネルギー事業者であるWGL Energy Services(WGLエナジー)社は6月8日、メリーランド州に新設するメガソーラー(大規模太陽光発電所)の電力を、MSEが保有・運営するスポーツ施設である「Verizon Center(ベライゾン・センター)」が購入するとの提携で合意したと発表した。

ワシントンDCのベライゾン・センターで行われた試合で活躍する米NBA「ワシントン・ウィザーズ」のマーキーフ・モリス選手(右)
ワシントンDCのベライゾン・センターで行われた試合で活躍する米NBA「ワシントン・ウィザーズ」のマーキーフ・モリス選手(右)
(出所:Keith Allison via VisualHunt, CC by-SA)
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 ベライゾン・センターは、全米プロバスケットボール・リーグ(NBA)の「ワシントン・ウィザーズ(Washington Wizards)」やプロアイスホッケー・リーグ(NHL)の「ワシントン・キャピタルズ(Washington Capitals)」の本拠地となっている屋内競技場で、コンサートやその他イベントの会場としても利用されている。

 今回の提携でベライゾン・センターに電力を供給するメガソーラーは、ワシントンDCから北西に80kmほどに位置するメリーランド州フレデリック(Frederick)郡で建設され、出力は3.5MW。

 ベライゾン・センターは、同メガソーラーから調達する電力と、他の太陽光発電所による再生可能エネルギー・クレジット(環境価値)を合算することで、使用する電力の25%を太陽光で賄うとしている。

 電力の供給開始は2017年の終わり頃を予定しており、ベライゾン・センターは年間に470万kWhの電力量を同メガソーラーから調達する。温室効果ガスの削減効果は、年間に約700台の自動車の排出するCO2に相当するという。

 ベライゾン・センターは、スポーツによる温室効果ガスの排出量削減を目指している米「グリーン・スポーツ・アライアンス(Green Sports Alliance)」の会員であり、ウィザーズやキャピタルズは、再エネを活用するプロ・スポーツチームの草分けとなる。

 米太陽光発電産業協会(SEIA)のアビゲイル・ロス・ホッパー代表は、「ベライゾン・センターのようなプロスポーツ施設は、大量に電力を消費するので、太陽光に切り替えることで大幅なコスト削減になる。今回のプロジェクトは極めて革新的で、投資利益率(ROI)で相当な改善が見込めるだけでなく、全米の各地域における大気の品質向上にも寄与する。主要な企業が主導するトレンドの一環である」と評価している。

 米国では、トランプ政権が6月1日、気候変動対策の国際的な枠組みである「パリ協定」から離脱する意向を表明している。

 一方、気候変動の抑制に真剣に取り組む企業、州・市などの地方自治体、非営利団体(NPO)などでは、再エネの導入や推進を自発的に継続するといった傾向が鮮明になりつつある(関連記事)。