調査会社のブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス(BNEF)は6月13日、エネルギー関連の長期予測の2016年度版「New Energy Outlook 2016」(新エネルギー概況)を発表した。
2040年までに世界で新たに導入される発電設備への新規投資のうち、約3分の2を再生可能エネルギーが占めると予想している。
発電設備全体の新規投資額11.5兆米ドルのうち、再エネが7.8兆米ドルを占める。太陽光発電は3.4兆米ドル、陸上風力発電は2.8兆米ドル、洋上風力発電は2730億米ドルとなる。また、水力発電が9110億ドルとなる。
世界の全電源の発電容量は、2015年の6.418TW(6418GW)から、2040年には13.460TW(1万3460GW)に増える(図1~2)。増加分のうち、太陽光発電は3.7TW(大規模発電が2.3TW、屋根などの分散型発電が1.4TW)、風力発電が1.8TWとなっている。この風力発電は、新設分から廃棄分を差し引いた純増分となる。
この結果、発電容量の電源別比率は、2015年の太陽光発電4%、風力発電7%から、2040年には太陽光発電が29%、風力発電が13%と大幅に増える。
太陽光発電と風力発電のコストは今後、急速に低下すると分析している。1MWhあたりのLCOE(発電所の開発開始以後の総平準コスト)は、2040年までに太陽光発電が約60%低減、風力発電も約41%低減する。
これによって、多くの地域・国で2020年代に、それ以外のほとんどの地域・国でも2030年代に、太陽光・風力発電が最も低コストの電源となる(図3)。
BNEFでは、こうした先例として、メキシコのメガソーラー(大規模太陽光発電所)が2016年3月に36米ドル/MWh、モロッコの風力発電所が2016年1月に30米ドル/MWhという売電価格の電力供給契約を締結した例を紹介した。いずれも伊Enel Green Power社が売電するもので、3米セント/kWh台で再エネ電力を供給する。