浮穴 浩二氏
浮穴 浩二氏
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 2050年のクルマは、現在と全く異なる形になる可能性が大きい。事業構造も大きく変わりそうだ。日経Automotiveは2016年7月6日、セミナー「クルマの2050年を徹底予測<第2弾>」を都内で開催する。浮穴浩二氏(UKコンサルタント)は、2050年までの技術と商品の予測年表を作成した。そのポイントを解説する。

 浮穴氏が2020年頃までに実現しそうな技術として注目するのが、BMI(Brain Machine Interface)だ。脳波で機器を制御する。いずれ自動車に採用されていくとみる。自動車のHMI(Human Machine Interface)が大きく変わる契機になる。

 2030年には人間に近い知能と感情を有する人工知能(AI)が実現するとの予測を披露する。浮穴氏は、喜怒哀楽の感情を表現できるクルマが、人の話し相手になるとみる。2035年になると、無人タクシーの販売比率が主要国の新車販売台数のうち、1割近くを占めると予測する。

 2040年には、75%の車両が自動運転車になっていると見通す。浮穴氏は、クルマは「動く家」になると考える。クルマに求められるのは、リビングルームのような心地よい空間だ。さらに量子情報通信が実用化し、車内で高画質な動画を楽しむことが普通になっている考える。移動という観点では、100万円以下で宇宙に旅行できるようになる。

 2050年までには、AIの知能が人を上回るとされる。人は、クルマから運転手法や使い方を教わっているだろうとみる。完全自動運転車が自動車販売の大半を占め、運転免許制度はなくなると予想する。

 パワートレーンについては、2050年の段階で燃料電池車(FCV)の普及率が約2%にとどまるとの予測を示す。中型車以上のほとんどがFCVになるとみていた2010年時点の予測から、38ポイント近く大幅に下方修正した。当時は、2035年ごろにオイルピークになると見ていた。水素の生成コストとガソリン価格がほぼ同等になり、水素燃料への転換が急激に進むと考えた。

 だが、この5年間に米国でシェール革命が起こる。オイルピークの時期は2035年ごろから大きく遅れると見込める。ガソリン燃料やディーゼル燃料を使う既存のエンジンが主流の時代が、しばらく続くことになる。加えてシェールガスは発電に使えるため、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)の充電エネルギーを供給しやすくなると読み解く。EVやPHEVには追い風になりそうだ。