泉田 良輔氏
泉田 良輔氏
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 2050年のクルマは、現在と全く異なる形になる可能性が大きい。事業構造も大きく変わりそうだ。日経Automotiveは2016年7月6日、セミナー「クルマの2050年を徹底予測<第2弾>」を都内で開催する。そのうち、「自動運転は本当に破壊的イノベーションか」と題して泉田良輔氏(GFリサーチ代表)が登壇。米Alphabet社(旧Google社)や米Apple社といった自動運転車を開発するIT企業の狙いを読み解き、自動車産業の将来を論じる。

 泉田氏が2050年に向けて重要になると見るのが、「都市管理」だ。自動運転車の開発競争で主役を担うのが、都市の中で車両を効率的に管理し、運用するサービスを手掛ける事業者と考える。自動運転車は、都市を効率的に管理するための“一端末”という位置付けになる。

 そんな時代に勝者になり得る条件として泉田氏が挙げるのが、垂直統合した事業構造の構築である。クルマの企画から製造にとどまる従来の垂直統合ではなく、エネルギーからデータセンター、サービスプラットフォーム、OS、SoC(System on Chip)、クルマの企画や設計、製造を含めた幅広いものと定義する。Apple社の事業を、自動車産業に置き換えたものと言える。

 さらに垂直統合化と並んで重要だと考えるのが、資金力だ。都市管理事業とはすなわちインフラ事業。事業のパートナーは、自治体や国となる。投資の回収期間は極めて長く、資金面で不安のある企業の参入は難しい。

 資金調達力の目安となる株主資本で見たとき、泉田氏は自動運転時代に都市管理まで手掛けられる目安は10兆円以上と考える。現時点で該当するのは韓国Samsung Electronics社やトヨタ自動車、米GE社、ドイツVolkswagen社、Alphabet社、Apple社くらいだ。