2025年の医療分野におけるIoT関連機器・システムの国内市場は、2016年比2.2倍の1685億円。同じく、2025年の医療分野におけるAI関連の国内市場は2016年比4.1倍の150億円――。

 富士経済は、医療分野におけるIoT・AI関連の国内市場について調査。その結果をまとめた報告書「2017年 メディカルIoT・AI関連市場の最新動向と将来展望」において、このように予測した。

 政府は現在、第4次産業革命における変革のコア技術として、IoTやビッグデータ、AI、ロボット・センサーに重点を設置。医療・介護・健康関連産業の育成を図る方針も打ち出している。IoT・AIの研究開発の推進や医療・健康分野への応用や産業化が目標に掲げられており、医療ビジネスに携わるさまざまな事業者がIoT・AIに関連した事業展開を進めている。これらが市場拡大を後押しするとの予測だ。

遠隔診療の普及拡大も後押し

 2025年に2016年比2.2倍の1685億円になると予測したIoT関連機器・システムの国内市場は、通信機能搭載型人工臓器5品目、治療・モニタリング機器・システム10品目、その他医療関連IoTシステム3品目を対象とした。

医療分野におけるIoT関連機器・システムの国内市場の成長予想グラフ
医療分野におけるIoT関連機器・システムの国内市場の成長予想グラフ
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 個別に見ていくと、通信機能搭載型人工臓器はペースメーカー/埋込型除細動装置の占めるウェイトが高く、2025年は2016年比55.8%増の1058億円と予測。デジタル補聴器はスマートフォンの扱いに慣れた世代の高齢化に伴う需要の増加が見込まれ、人工眼システムや人工腎臓(透析装置)は今後の市場形成が期待されるという。

 治療・モニタリング機器・システムは、IoT化による遠隔モニタリングや在宅医療が過疎地区の問題や高齢者増加の問題への対応策として期待されており、対応する装置・機器の市場も徐々に拡大しつつある。2016年時点ではカプセル内視鏡とCGM(持続血糖測定)/CGM機能搭載型インスリンポンプ(人工膵臓)のウェイトが大きいが、ウエアラブル型脳波計は将来的に大幅な伸びが予想され、2025年の市場を150億円と予測した。

 その他医療関連IoTシステムは、2015年8月に遠隔診療の解釈が厚生労働省によって明確化されたことを受けて、遠隔医療支援IoTシステム/サービスの参入企業が増加。需要は大きいとみられ、普及拡大が期待される。遠隔看視システム(在宅患者見守りシステム)では新規採用や高機能システムへの切り替えが今後進み、服薬管理支援システムでは医薬品企業や調剤薬局の参入・開発による普及拡大が期待される。