スイスu-blox社は、創業20周年を機にアジア報道機関向けの会見を本社があるチューリッヒ近郊のThalwilで2017年6月13日に行った。最初に登壇したのは、CEOのThomas Seiler氏である。

登壇したThomas Seiler氏。日経テクノロジーオンラインが撮影。1枚目(表紙)のスライドの背景や右端においてある自動車の模型などに、「クルマ」への意気込みを感じさせる。
登壇したThomas Seiler氏。日経テクノロジーオンラインが撮影。1枚目(表紙)のスライドの背景や右端においてある自動車の模型などに、「クルマ」への意気込みを感じさせる。
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 同氏によれば、同社はスイス連邦工科大学チューリッヒ校(ETH)のスピンオフとして1997年に設立された。最初の製品はGPSモジュールである。2007年にはスイス証券取引所に上場した。2009年にイタリアNeonSeven社とイギリスGeotate社の買収により、移動通信モジュール市場に参入した(2GのGSM)。その後、WiFiやBluetoothといった短距離無線通信モジュール製品も市場投入している。

 現在、同社が提供する製品は、測距/時刻計測モジュール(GNSSモジュール)、移動通信モジュール(3G、4Gなど)、短距離無線通信モジュール(WiFi、Bluetooth)という3種の無線通信モジュールである。現在でも売上高の5割以上は、測距/時刻計測モジュール(GNSSモジュール)が稼ぎ出す。それに次ぐ売上高なのが、移動通信モジュールとのことである。製造は基本的にアウトソーシングで自社工場はない。ただし、受け入れ検査や不良解析を行う施設は自社で保有する。モジュールに搭載するICは自社開発品もあるし、他の半導体メーカーから調達する場合もある。

本社のあるビルには、受け入れ検査や不良解析を行う施設を持つ。日経テクノロジーオンラインが撮影。
本社のあるビルには、受け入れ検査や不良解析を行う施設を持つ。日経テクノロジーオンラインが撮影。
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 同氏が見せた2012年から2016年の売上高のグラフでは、毎年、売上高は増えている。昨年(2016年)の売上高は約360万スイスフラン(約4億円)。前年比で6.5%の成長だった。アプリケーション別売上高では、インダストリー(産業)が5割以上を占め最大。自動車が約3割で続き、残りが民生。地域別の売上高では、アジア太平洋が50%、残りを欧州中東アフリカと米州が25%で分け合う(2016年)。顧客数は5700で、65か国に分布する。最大顧客でも総売上高の6%未満と、顧客に偏りがないとした。従業員数は世界で約900名という。