東芝製Liイオン電池をTMEICがシステム構築

 今回のメガソーラープロジェクトでは、蓄電池システムを敷地内に併設して、太陽光発電との合成出力を連系し、急峻な出力変動を平滑化するのが特徴。設置する蓄電池は、出力12.5MW、容量7.2MWhで、メガソーラーの出力と連係した充放電制御は、TMEIC製「TMBCS(TMEIC蓄電池コントロールシステム)」を採用する。東芝製のLiイオン蓄電池「SCiB」、TMEIC製双方向型PCSを使い、TMEICが全体システムを構築した。蓄電池の導入費用には、環境共創イニシアチブを通じて経済産業省の補助金を活用した。

 TMBCSは、メガソーラーに設置した多数台のPCSを統合して制御する「メインサイトコントローラー(MSC)」が、蓄電池のPCSとも連係し、サイト全体の連系点の発電量をリアルタイムに監視しながら、太陽光の急峻な出力変動を緩和する方向で、蓄電池を充放電制御する仕組み。

 蓄電池を併設することになったのは、北海道電力が2015 年4 月に公表した技術要件に対応するため。メガソーラー出力の変動幅を、蓄電池の充放電制御と連係した合成出力で、1分間にPCS定格出力の1%以内に収める「変動率毎分1%」を求めた。太陽光発電の急峻な出力変動による系統周波数への影響を抑える「短周期変動対策」が目的だ。

 北電は、接続申し込みが400MWを超えた分の2MW以上のメガソーラーについては、この技術要件を適用し、蓄電池の併設を求めている。

 知内町のプロジェクトの場合、PCS出力17.5MWに対し、蓄電池の出力は12.5MWとなる。PCS出力の方が大きいため、太陽光の急峻な出力変動を完全に平滑化できず、「変動毎分1%」を逸脱する可能性もあり、その場合、太陽光の出力を抑制制御することになる。「蓄電池の設置容量をさらに増やせば、出力抑制の量は減るが、その分、初期投資が膨らむ。投資対効果の視点で最適な蓄電池容量を決めた」(オリックス)という。

 TMEICによると、TMBCSを使うことで、相対的に少ない蓄電池容量で、メガソーラーの急峻な出力を平滑化できるという。通常、「変動毎分1%」の連系条件の場合、PCS出力の8割程度の蓄電池出力が目安とされているが、今回は7割程度となっている。