南鳥島における大気中CO2濃度の年平均値(上)、年平均値の前年からの増加量(下)
南鳥島における大気中CO2濃度の年平均値(上)、年平均値の前年からの増加量(下)
(出所:気象庁)
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 気象庁は5月31日、日本付近の大気中の二酸化炭素(CO2 )濃度が観測史上で最高を更新したと発表した。主な原因は2014年夏から昨年春に発生したエルニーニョ現象の影響と考えられ、前年からの増加量が大きい傾向は、北西太平洋域および日本の南東上空でも見られるという。

 気象庁では、世界気象機関(WMO)の全球大気監視(GAW)計画の一環として、大気と海中の精密なCO2濃度の観測を、日本を含む北西太平洋域の陸上、海洋、上空で行っている。今年4月までの観測結果で、陸上(国内観測地点の地表面付近)、海洋(北西太平洋域の洋上)、上空(日本の南東上空6km付近)のいずれも観測史上、最高を記録した。

 陸上では、国内3カ所の観測地点におけるCO2の月平均値は、今年3月に南鳥島(東京都小笠原村)が411.1ppm、与那国島(沖縄県与那国町)が413.7ppm、今年4月に綾里(岩手県大船渡市)が415.4ppmと、それぞれ観測史上の最高を更新した。昨年の年平均値は3カ所いずれも観測史上最高となり、前年からの増加量は、南鳥島が+3.4ppm/年で観測史上1位、綾里が+3.8ppm/年で1位タイ、与那国島が+3.2ppm/年で2位となった。

 海洋では、今年冬季の洋上大気中のCO2 濃度は、東経137度線の北緯7~33度の平均値が409.9ppm、東経165度線の北緯9~28度の平均値が407.1ppmで、いずれも観測史上で最高を更新した。前年からの増加量は、東経137度線において+5.4ppm/年で、直近5年間の平均(+2.1ppm/年)を大きく上回った。また、表面海水中のCO2濃度も長期的には大気中と同程度の割合で増加し続けている。

 上空では、航空機による神奈川県綾瀬市-南鳥島間の上空6km付近の大気観測の結果、今年4月の飛行経路上におけるCO2濃度の平均は409.6ppmとなり、観測史上最高を更新した。昨年に行った12回の観測の平均値も404.2ppmと観測史上最高を更新、前年からの増加量も+3.4ppm/年で、直近5年間の平均(+2.5ppm/年)を上回った。