南アフリカのヨハネスブルグにあるABB社のロングメドウ事業所。太陽光発電とディーゼル発電機、定置型蓄電池システムなどによりマイクログリッド化した
ヨハネスブルグにあるABB社のロングメドウ事業所
(出所:ABB)
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 スイスのABB社は6月8日、南アフリカ共和国のヨハネスブルグにある同社のロングメドウ(Longmeadow)事業所(面積:9万6000㎡)で太陽光発電と蓄電池、ディーゼル発電を統合したマイクログリッドを稼働させたと発表した。

 750kWの太陽光パネルを屋根上に設置するとともに、定置型蓄電池システムも備えた。系統に連系して運用するほか、オフグリッドでの運用にも対応でき、それぞれの機能を充実させたという。

 ディーゼル発電機は、同事業所で元々非常時のバックアップ用電源として使用されていた。これに太陽光パネルや定置型蓄電池システムを追加することでマイクログリッドとして統合した。

 計画停電や不測の停電でも、再生可能エネルギーを最大限に活用しつつ、電力を途切れなく確実に供給できるため、工場の操業に影響を与えないとしている。

 定置型蓄電池には、同社製の系統安定化システム「PowerStore」を採用した。同システムの出力は1MVA、蓄電容量は380kWhである。同システムにより、電源の周波数や電圧の変動に対応する。

 また、分散制御システムとして同社製の「Microgrid Plus」を併用し、電源の供給を管理する。負荷の状況に応じてディーゼル発電機と太陽光発電システムを協調させて運転するなどの制御を行う。

 南アフリカはアフリカのサハラ砂漠以南では電力消費量が最も多く、電力の供給が需要に追い付いていない。

 同国では、電力不足や化石燃料価格の変動、地球環境への負荷などから、持続可能なエネルギー・ソリューションが求められている。ABB社は、「今回発表したマイクログリッド技術は、こうした課題に有効」という。加えて、「南アフリカだけでなく世界中に数千カ所でニーズがある」としている。

 同社は、遠隔地域や離島、産業用途などの幅広い用途で30件以上のマイクログリッドを構築した実績を持つという。