TDKと東京医科歯科大学は共同で、HDD(ハードディスク装置)の磁気ヘッドに使う磁気センサーで、心臓の磁場分布を測定することに成功した(プレスリリース)。世界初の成果という。心臓疾患や筋疾患、神経疾患の診断、リハビリテーションやスポーツトレーニングなどに手軽に使える、モバイルセンサーの実現につながる。

 生体磁界のような微弱な磁界の測定にはこれまで、超伝導量子干渉素子(SQUID)センサーを使ってきた。ただし液体ヘリウムでの冷却が必要で設備が大型になることから、利用は一部の研究機関にとどまっていた。

 今回はTDKが強みを持つ磁気センサー(磁気抵抗素子)を高感度化。同センサーのアレイを使い、心磁界分布を常温下で可視化することに成功した。同センサーは複数個による並列測定が容易で、高密度の測定ができる。そのため、心筋活動の開始部位を特定したり、活動部位の広がりを評価したりできるという。

 TDKは今回の技術の詳細を「第31回 日本生体磁気学会大会(2016年6月9~10日、金沢市文化ホール)」で発表する。