水素エネルギー利用システムの概念図
水素エネルギー利用システムの概念図
(出所:清水建設)
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FREA内に建設した水素エネルギー利用システム
FREA内に建設した水素エネルギー利用システム
(出所:清水建設)
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 清水建設は、産業技術総合研究所(AIST)と建物付帯型の水素エネルギー利用システムを共同開発し、6月1日から本格的な実証実験を開始した。

 システム性能を検証するとともに、同社が開発したBEMS(ビル・エネルギー管理システム)による最適制御技術の確立を目指す。

 今回開発した水素エネルギー利用システムは、余剰電力で水を電気分解して水素を取り出して貯蔵し、必要に応じて燃料電池に水素を投入して電気と熱を生み出す。延床1000m2程度の建物利用に特化したシステムとして構成した。

 実証システムは、AISTの福島再生可能エネルギー研究所(FREA)内に建設し、出力20kWの太陽光発電装置、水素発生量5Nm3/hの水電解装置、貯蔵量40Nm3の水素貯蔵装置、出力3.5kWの燃料電池、出力10kWの蓄電池から構成される。水素貯蔵装置はAISTによる水素吸蔵合金をベースに構築した。各設備は順次、容量を拡大していく予定という。

 実証運転では、実際の建物の電力・熱需要データに基づき、「シミズ・スマートBEMS」が太陽光発電の発電状況を考慮しながら、水素の製造、貯蔵、放出などを監視し、最適に制御する。今後、約10カ月間、実証的に運転し、制御技術を確立する。

 両者は、今回の共同研究で水素社会に対応できる建物付帯型のコンパクトで安全な水素エネルギー利用システムを開発し、2020年までに建物、街区への導入を目指す。