「東和吉見発電所」の全景
「東和吉見発電所」の全景
(出所:東和アークス)
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「水上架台式システム」を採用した
「水上架台式システム」を採用した
(出所:東和アークス)
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鋼製架台をフロートに載せ、パネルを固定
鋼製架台をフロートに載せ、パネルを固定
(出所:東和アークス)
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 コンクリート製造・販売を手掛ける東和アークス(さいたま市)は、水上設置型の太陽光発電所に参入する。今年、3月末に埼玉県比企郡吉見町にある和名沼の水面に出力400kWの「東和吉見発電所」を稼働させた。埼玉県内を中心に水上太陽光の開発に取り組む。

 「東和吉見発電所」は、吉見町が保有する農業用ため池で、東和アークスが同町から湖面を賃借し、太陽光パネル1296枚を設置した。ポリエチレン製の浮力体(フロート)の上に、鋼製架台を載せ、そこにパネルを固定する「水上架台式システム」を採用した。

 国内の水上太陽光では、樹脂製の浮体に直接、パネルを設置する「フロート式」が主流で、フランスのシエル・テール・インターナショナル社製を採用するケースが多い。

 東和アークスが導入した「水上架台式システム」は、韓国のダム管理会社であるk-water社がシステム開発し、韓国・SCOTRA社がフロートを製造した。高耐食性合金鋼材で製造した架台を地上で組み立て、湖面のフロートに載せて、パネルを固定する。ロープやチェーンを使った係留システムによって湖底の基礎とつなぎ、風や波に対して安定化させる。

 従来のフロート式に比べ、水深の深い湖にも設置でき、強風や波にも相対的に強いという。また、フロートに固定する架台の設計次第で、設置角度も変えられる利点もある。

 東和アークスは、水上架台式システムのほか、k-water社と共同で、架台と浮力体が一体の「フロート式」の開発にも取り組んでいる。国内での水上太陽光の開発にあたっては、出力規模や湖沼環境によって、2タイプを使い分ける方針という。

 東和アークスでは、栃木県日光市とさいたま市に出力1MW 以上のメガソーラー(大規模太陽光発電所)を、栃木県那須塩原市に500kWの太陽光発電所を開発・運営している。いずれも地上設置で、水上設置は、「東和吉見発電所」が初めて。同発電所のパネルは韓国・LS産電、パワーコンディショナー(PCS)はSMAソーラーテクノロジー製を採用した。埼玉県の比企地区は、ため池の数が全国有数であることから、まず同地区を中心に水上太陽光発電所の開発に取り組む。