スイスのランディス・アンド・ギア(Landis+Gyr)社は、米アリゾナ州の「アイアンホース・エネルギー・ストレージ&ソーラー・プロジェクト(Iron Horse Energy Storage & Solar Project)」で同社が供給した定置型蓄電池システムが稼働を開始したと発表した。

 同プロジェクトは、ドイツの電力大手E.ONの米国法人であるE.ON North America社が、アリゾナ大学の「テックパーク(Tech Park)」で取り組んでいたもの。地元の電力事業者であるTucson Electric Power (TEP)社による、再生可能エネルギーの増強という目的の達成を支援する。

 テックパークのメガソーラー(大規模太陽光発電所)は出力の合計が25MWで、10社の太陽光パネルを223エーカー(約90万m2)の用地に並べている。アイアンホース・プロジェクトはそのうち2.4MWを占めている。

 ランディス社は、今回の定置型蓄電池システムでEPC(設計・調達・施工)サービスを担当。東芝製のLiイオン電池「SCiB」技術に基づき、出力10MW、蓄電容量2.5MWhの定置型蓄電池システムをコンテナ筐体に収めて供給した。

 TEP社が求めていた、サイクル寿命特性、高エネルギー密度、急速充電特性などのバランスを満足したとしている。その結果、発電所の故障といった状況に対しても、需給バランス調整や周波数制御などを最適化できるという。

 アイアンホース・プロジェクトにより、TEP社は増強が続く再エネ由来の電源ポートフォリオをどのように統合するかの研究を進めていく。TEP社は2030年までに約1.2GW、同社が保有する総設備容量の30%を再エネで賄う目標を定めている。