国土交通省と自動車事故対策機構は2016年5月27日、市販車の安全性能を評価する「自動車アセスメント」の2015年度結果を発表した。衝突時の車両安全性を表す「衝突安全性能評価」では、マツダの「CX-3」が最高得点を獲得した(図1)。2011年度に新しい評価基準の適用が始まって以降、歴代の成績で見るとCX−3の得点は3位となる。これで2011~2015年通算の上位5位のうち3~5位の3車種をマツダ車が占める形となる。

図1 2015年度「自動車アセスメント」の衝突安全性能で1位を獲得したマツダの「CX-3」
図1 2015年度「自動車アセスメント」の衝突安全性能で1位を獲得したマツダの「CX-3」
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 2015年度の衝突安全性能評価では、全11車種のうち5車種が最高評価の「ファイブスター」を獲得した。ファイブスターを獲得した5車種は、トヨタ自動車の「シエンタ(SCA:サイド・カーテン・エアバッグ付)」、ホンダの「シャトル」「ジェイド」「ステップワゴン」、マツダの「CX-3」。2011年以降の得点で見ると1位がトヨタの「クラウン アスリート」で189.7点、2位が富士重工業の「レガシィ」で188.8点、3〜5位が順にマツダCX-3の188.2点、「デミオ」の185.7点、「アクセラ」の185.1点となる。

 デミオのような小型車を含むマツダ車が高い衝突安全性能を実現した理由として、同社商品本部主査の冨山道雄氏は、共通したボディー構造である「SKYACTIV-BODY」を挙げた。同構造は、高い耐衝撃性能を有する直線状の基本骨格と、衝撃を骨格全体に分散する「マルチロードパス構造」が特徴だ(図2)。このSKYACTIV-BODYを「個別最適ではなく、どの車種にも展開できるように設計した」(同氏)ことが、車種間に共通した安全性能を実現するという。

図2 基本骨格の「ストレート構造」と、衝撃分散の「マルチロードパス構造」を実現した「SKYACTIV-BODY」
図2 基本骨格の「ストレート構造」と、衝撃分散の「マルチロードパス構造」を実現した「SKYACTIV-BODY」
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 SKYACTIV-BODYのストレート骨格を実現するためには、エンジンや変速機、シャシーなどを小型化する必要があった。そこで「SKYACTIV」プラットフォームとして部品を並行して開発することで、全体を最適化していったという。マツダは2012年に発売した「CX-5」からSKYACTIVプラットフォームを採用しており、それ以来4年連続で衝突安全性能評価のファイブスターを獲得している。