図1 囲み取材を受けるシャープ代表取締役社長の戴正呉氏
図1 囲み取材を受けるシャープ代表取締役社長の戴正呉氏
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図2 登壇する戴正呉氏
図2 登壇する戴正呉氏
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図3 展示した8K 70型超高精細液晶パネル
図3 展示した8K 70型超高精細液晶パネル
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 シャープは、2017年5月26日に、2017~2019年度の中期経営計画説明会を開催した。同社代表取締役社長の戴正呉氏らが登壇し、報道関係者とアナリスト向けにシャープ本社(大阪・堺)で説明した。同社は2020年度以降に「次の100年における持続的な成長」を遂げるために、2017~2019年度に実行するトランスフォーメーション(変革)の具体的な取り組みを示した。

 同社は、この中期経営計画における全社戦略として、「ビジネスモデルの変革」、「グローバルでの事業拡大」「経営基盤の強化」という3つのトランスフォーメーションを通じて、「人に寄り添うIoT」と「8Kエコシステム」を事業の柱として推進していく方針を明らかにした。これを実現するため、全社の事業ドメインを4つに再編する。(1)機器とサービスの連携で人々の暮らしを便利・快適にすることを目指す「スマートホーム」事業、(2)オフィスや工場など、ビジネス現場の生産性を高めるための解決策(ソリューション)などを提供する「スマートビジネスソリューション」事業、(3)先進的なディスプレイを創出する「アドバンスディスプレイシステム」事業、(4)スマート社会の実現に向けてセンサーなどの特徴あるデバイス群を手掛ける「IoTエレクトロデバイス」事業である。

 これら4つの事業ドメインを設定するとともに、全社に横串を通す2つの戦略推進室(「AIoT戦略推進室」、「8Kエコシステム戦略推進室」)を新設する。ここで、AIoTとはAI & IoTを意味し、AIを活用した「データ分析(音声/画像など)の高度化」、およびIoTによる「機器とクラウドの連携」を組み合わせることにより、新たなサービスを創出する狙いがある。

 注目すべきは、このAIoT戦略推進室長として、元ソニーの石田佳久氏を迎えた点だ。石田氏は、かつてHoward Stringer氏がCEOを務めていた2009年に、次世代を担う「四銃士」の一人として指名された人物である。その後、同社ホームエンタテインメント事業本部長を務めていた2011年に、テレビ事業の不振の責任を取る形で、英Sony Ericsson社の副社長に転じた。石田氏は2016年にシャープの社外取締役に就任していたが、2017年6月1日付けで同社の副社長執行役員 AIoT戦略推進室長に就任し、業界の最前線に戻ってくることになった。