飲料メーカーのキリンは2016年5月25日、スマートフォンアプリ「KIRIN お酒と食事の健康サポーター」を発表した。同月26日から無料で提供を開始する。これまで「プリン体カット製法」の開発や特定保健用食品の提供で消費者の健康を支援してきた同社が、誰でも気軽に使える健康アプリという新たなサービスに乗り出す。

キリン CSV推進室 ARP室の山本恵莉氏
キリン CSV推進室 ARP室の山本恵莉氏
[画像のクリックで拡大表示]
 「健康アプリは、入力が面倒だと感じる人も多い」。25日の発表会に登壇したアプリの開発担当者、キリン CSV推進部 ARP室の山本恵莉氏はこう話す。健康への意識が高まり、それを支援するさまざまなアプリが登場している。一方で、使用者が必ずしも長期間にわたって飽きずに使い続けられているわけではない。同社はこの点に目を付けた。「記録し管理するだけのアプリでは、本当に健康かどうかはわからない。食事やお酒を我慢するだけのものはないか」(山本氏)。

 キリンが2016年4月に20~60代の消費者を対象に行った健康に関する調査では、メタボリックシンドロームを懸念する人が8割にのぼった。思い当たる原因としては、カロリーオーバーや間食、夜遅くの食事など、食事に関する内容が目立ったという。今回のアプリで目指すのは、「我慢するのではなく、食事や飲酒を楽しむ」習慣としての健康管理だ。

管理栄養士の佐々木由樹氏
管理栄養士の佐々木由樹氏
[画像のクリックで拡大表示]
 同アプリの最大の特徴と言えるのは、食事や飲酒、運動のデータを入力すると、管理栄養士が監修したアドバイスを受け取れる機能だ。食事ごとに届くアドバイスは、約200万通りから個々人にあったものが送られる。継続して入力してもらえるよう、まずは食事内容の良かった点をほめてから、反省点を挙げ、最後に次の食事の具体的なアドバイスを返すというパターンにしている。

管理栄養士の佐々木由樹氏
管理栄養士の佐々木由樹氏
[画像のクリックで拡大表示]
 アドバイスの内容を監修したリンクアンドコミュニケーション 事業開発マネージャー 管理栄養士の佐々木由樹氏は、25日の発表会に登壇し、工夫した点について次のように述べた。「アドバイスは科学的な根拠に基づいている。その上で改善点や指示だけを伝えるのではなく、できるだけユーザーに寄り添ったアドバイスにした」。例えば、お酒を飲んでいるときには、「途中で水を飲みましょう」や「ノンアルコールにしてみてはどうですか」などのアドバイスをする。