FIT見直し法案が可決された
FIT見直し法案が可決された
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 再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)を見直す改正再生可能エネルギー特別措置法が25日の参議院本会議で可決、成立した。2017年4月から施行される。

 改正点のうち、再エネ発電事業者にとって、影響が大きいのは、以下の3つになる(関連記事)。
 (1)新認定制度の創設(現行の設備認定から事業認定に)
 (2)数年先の買取価格をあらかじめ決定できる価格の決定方法の見直し。
 (3)電気使用者の負担軽減に有効と認められる場合に、買取価格を入札で決定できる仕組みの導入。

 (1)の新認定制度では、まず最初に経済産業省が再エネ事業の計画を評価して認定する。その「事業認定」を取得した事業者が、電力会社に対し、決められた買取価格・期間での電力購入契約の締結を要求できる。「事業認定」の要件は、今後、経済産業省令で具体的に定められることになるが、電力会社との「接続契約の締結」が必須となる方向だ。

 新認定制度は、来年度からの新規案件だけでなく、現行の設備認定の取得者にも適用されるため影響が大きい。来年4月までに電力会社と接続契約を締結できない案件は、新認定制度に移行できず、現行の認定制度で得ていた買取価格を保持できない(関連記事)。

 このため新認定制度への移行を目指し、来年4月までに電力会社との接続契約を済まそうとする動きが活発化している。接続契約の締結には、工事費負担金を支払う契約を電力会社と結ぶことが前提となる(支払い時期については、契約締結後、まず負担金総額の10%程度を調査・測量費として支払うことが必要)。

 設備認定と系統連系の承諾を得ながら、工事費負担金契約を結ばず着工していない案件(いわゆる滞留案件)については、来年4月までに、資金調達のめどを付けて着工に踏み出すか、断念するかの決断を迫られる。もともと自ら建設する意思はなく、売電権利の転売を狙うブローカーも、来年4月に現行認定制度の売電権利が消滅することから、それまでに転売を迫られる。徐々に買い手市場となり、売電権利が値崩れする可能性が高い。

 (2)の複数年の買取価格の決定、(3)の入札制度の適用に関しては、実際の運用では様々な観点からの検討が必要になる。最終的には調達価格等算定委員会での了承が必要になるものの、詳細な検討や議論は、同委員会の下に新たに小委員会など設置し、より多くの専門家を交えて、具体的な運用について、検討を進める可能性もある。