専門家による支援がなくても予知保全は実現できる――。米PTC社は、米国・ボストンで2017年5月22~25日に開催されたプライベートイベント「LiveWorx 2017」において、同社の「ThingWorx」のデータ分析機能を機械の予知保全に活用した事例を紹介した。分析対象の機械に関する知識やノウハウを特に用いなくても、収集した稼働データを分析するだけで、的中率は90%以上に達したという。

 ThingWorxはIoT(Internet of Things)ソリューションの開発プラットフォームであり、機械などから収集したデータを高度に分析する機能「ThingWorx Analytics」を備えている。今回の事例では、リフロー炉で起き得る異常のうち、「酸素濃度の上昇」「吸気率の低下」という2つの現象が起きる(しきい値を超える)可能性を、同機能によって前日に予測した。分析対象のリフロー炉は13台、計測期間は2014~2016年に及ぶ。それぞれのリフロー炉に50個のセンサーを取り付け、そのローデータやローデータ同士の計算による計484種類のパラメーターを分析した。最初の3週間で収集したデータに基づいて予知アルゴリズムを作成し、残りの期間はこのアルゴリズムを少しずつ修正している。さらに、前出の異常が起きたら警報を出すシステムをThingWorx上に構築した。このプロジェクトのオーナーは、リフロー炉の制御基板のメーカーである。

プロジェクトの概要
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