バイオディーゼルマイクロコージェネレーションシステム「CP25BDZ-TC」
バイオディーゼルマイクロコージェネレーションシステム「CP25BDZ-TC」
(出所:ヤンマーエネルギーシステム)
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内部構造
内部構造
(出所:ヤンマーエネルギーシステム)
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 ヤンマーエネルギーシステム(大阪市)は5月23日、廃食油などのバイオマス燃料で運転できるバイオディーゼル仕様のマイクロコージェネレーション「CP25BDZ-TC」を開発したと発表した。

 これまで家庭や飲食店などで廃棄されていた使用済み油などを燃料に発電し、排熱を活用できる。7月1日から受注を開始する。希望小売価格は1500万円(税別)。2020年までに200台の販売を目指す。

 食油を活用したバイオディーゼル燃料は、従来から一部の都市部などでバスやトラックなどの燃料に使われてきた。しかし、十分なメンテナンスが行われないと不具合が発生するなどの問題から活用が進んでいなかった。ヤンマーは今回、バイオディーゼル発電の実証実験を通じて推奨メンテナンス項目を整備。さらに、独自の遠隔監視システム「RESS」により運転状況をモニタリングする。

 下水処理場など向けに累計500台以上販売するバイオガス仕様のマイクロコージェネレーション(熱電併給)システムをベースに、動力源をガスエンジンから液体燃料が使用可能なディーゼルエンジンに変更した。コージェネに必要な機能をパッケージ化し、現地施工を簡素化した。定置型で系統連系が可能な常用発電設備では国内最小クラスという。

 バイオディーゼル燃料は「FAME(脂肪酸メチルエステル)」と「SVO(ストレートベジタブルオイル)」の2種類に対応する。FAMEは植物油にメタノールを添加してエステル交換反応させて生成したもので、グリセリンなどの不純物を除去すれば,軽油と同等の燃焼性を持つ。

 一方、SVOは不純物を取り除いただけでの植物油で、常温で固形化(軽油の約10倍の粘性)するため用途は限定的だが、生成プロセスが少ないのが特徴。今回、SVOタンクを加温して粘度を下げることで燃料化するのに成功した。

 出力は15kWと小容量のため、小規模な店舗や工場、施設などに設置できる。回収熱量は34kWで温水取り出し温度は85℃。発電効率は35.0%、排熱回収率は48.0%で、総合効熱率は83.0%に達する。本体寸法は高さ2010×幅1990×奥行き800mm、重さは1250kg。