40代の乳がん罹患率、10年間で倍増

 マンモグラフィーではなく、超音波を使った乳がん検診に着目した理由は、国内の若年層に多いとされる高濃度乳腺(デンスブレスト)に対応するため。マンモグラフィーによる検査では「乳腺と腫瘍が同じように見えてしまう」(川畑氏)からだ。

 高濃度乳腺を考慮する必要があるのは、乳がんが若年層の罹患率が高いためである。一般的にがんの罹患は60~70代に多いとされているが、「日本を含むアジア諸国では乳がん罹患のピークは40代に迎えることが多い」(川畑氏)。特に、45~49歳の罹患者数は2002年から2012年にかけて倍増しているという。

 こうした事情を受け、「マンモグラフィーと組み合わせて使うという位置づけではなく、一台で高濃度乳腺や良悪性の識別にも対応する測定装置を作れたら」と川畑氏は展望する。