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日立、360度方向から超音波を照射する乳がん検診技術

動物臨床で直径5mmの乳腺腫瘍を検出

2017/05/25 12:05
伊藤 瑳恵=日経デジタルヘルス
 乳房に360度方向から超音波を照射して乳がんを検診する――。こうした計測技術「マルチモード超音波CT」を日立製作所が開発した。同技術が狙うのは、検査者のスキルに依存せず、腫瘍の良悪性を識別できる高精度な検診である。2017年4月から北海道大学病院と共同研究を開始している。

日立製作所 研究開発グループ 基礎研究センタ リーダ主任研究員の川畑健一氏
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 今回の技術では、リング状の超音波デバイスを使って360度の方向から超音波を照射する。超音波デバイスを上下動させることで、乳房全体を自動スキャンできる。これまでの超音波エコーのように、検査者が自らプローブを操作する必要がない。このため、「検査者の熟練度に依存しない検査を可能にした」(日立製作所 研究開発グループ 基礎研究センタ リーダ主任研究員の川畑健一氏)。

 測定の流れはこうだ。被検者はベッドにうつ伏せで横たわり、ベッドに空いた穴の位置に乳房を合わせる。水の入った検査容器に乳房を入れ、超音波デバイスを使って乳房全体をスキャンする。乳房と超音波デバイスの間を水で満たすのは、「効率的に超音波を伝搬させるため」と川畑氏は言う。超音波を使うことで被曝のない検査を実現でき、乳房を圧迫する必要がないため被検者に痛みはない。

「マルチモード超音波CT」のコンセプトイメージ
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腫瘍の硬さや粘性、表面粗さも計測可能に

 360度方向から超音波を照射することで、腫瘍のさまざまなパラメーターを測定することも可能にした。これまでの超音波エコーでは1方向から超音波を照射し、後方反射波のみを取得していた。そのため、腫瘍の良悪性の区別や微小石灰化の可視化が困難であるという課題があった。

 そこで、今回は後方反射波に加え、側方反射波と前方透過波を取得する技術も開発。360度方向からの反射波から、腫瘍の構造や微小石灰化、腫瘍の表面粗さを確認することができるようにした。これらのパラメーターは「マンモグラフィー(乳房X線撮影装置)で腫瘍の状態を判別する際にも使われている」(川畑氏)。このほか、透過波から取得できる硬さと粘性などの情報を組み合わせることで腫瘍の良悪性を識別できるという。

日立製作所 研究開発グループ 基礎研究センタ長の山田真治氏
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 今回の技術開発は、2015年から本格的に着手。これまでに、動物を使った臨床試験を実施済み。直径5mmのイヌの乳腺腫瘍を検出することができた。発表会に登壇した日立製作所 研究開発グループ 基礎研究センタ長の山田真治氏は、「2017年度内に人間の腫瘍を検出する臨床試験を行いたい」と意気込んだ。2020年には実用化レベルまで技術を確立することを目指しているという。

日経デジタルヘルス Special

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