図1 EXAMATIONの外観
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図2 BIO、BIDによる製造アルゴリズムの改良の概念
図2 BIO、BIDによる製造アルゴリズムの改良の概念
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図3 BIO、BIDのイメージ
図3 BIO、BIDのイメージ
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図4 センシングの機構
図4 センシングの機構
ドラムに巻き付ける際の位置や張力を計測して随時補正していく。
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 ブリヂストンは、人工知能(AI)などを駆使してタイヤの成型工程における生産性を向上し、品質のバラツキを抑える新システム「EXAMATION」を彦根工場に導入したと発表した(ニュースリリース、図1)。大きさが13~17インチのタイヤの成型を行うもので、工程プロセスを見直したのに加え、大量の計測データの取得やそれに基づく制御、AIなどによって成型工程を自動化したことで、タイヤの真円度を向上させるとともに同工程の生産性を2倍に高めた。

 EXAMATIONは、「Bridgestone Intelligent Office(BIO)」と「Bridgestone Intelligent Device(BID)」と呼ぶ2つの技術がベースとなっている。BIOは、同社のコア技術である高分子材料の材料や構造、加工のノウハウを加味した形で設計情報や市場からの情報などのビッグデータを解析。シミュレーションも駆使して新たな制御アルゴリズムを生み出すもの。BIDは、そのアルゴリズムに基づいて工場のセンシングデータからAIを活用して生産設備を自動制御する(図2)。つまり、センシングデータから解析・予測してアルゴリズムを生み出し、それに基づいて加工した結果をセンシングしてアルゴリズムをブラッシュアップすることで、成型工程の生産性と品質を高めるというものだ。

 例えばBIOでは、成型時におけるトップドレッドやベルトといった構成部材の収縮や変形、搬送時の蛇行などが製品のバラツキに与える影響度を解析することで、新たな制御アルゴリズムを見出した(図3)。BIDという点では、ローラーに巻き付ける際の部材の位置や張力をセンシングし、補正しながら製造することで工程能力を高めた(図4)。具体的にはタイヤ1本当たり、2000項目以上の品質データや設備・生産データを計測しており、これを最適化するようにAIで制御することで、従来に比べて真円度(ユニフォミティー)は15%向上したという。従来はこの補正を人が経験とカンで作業しており、自動化する上でBIOとBIDが必要になった。