シャープは5月25日、住宅用の単結晶シリコン型太陽光パネル「BLACKSOLAR」の新製品として、業界トップクラスとする変換効率19.6%の製品を発表した。
BLACKSOLARは、発電に寄与する受光面積を減らす電極を裏面に移すことで、パネル表面の受光面積を増やす「バックコンタクト構造」の太陽電池セル(発電素子)を使ったパネルである。一般的なセルを使ったパネルにおいて、セル表面の電極を接続している太い配線(バスバー)に相当する配線は、樹脂製のシート上に銅で形成し、セルの裏面に張り付けている。
新製品は、従来の42セル品に対して、48セルと大型化し、出力は256W/枚とした。既存の42セル品の出力は220W/枚だった。
変換効率の向上と大型化は、設計の工夫と、製造技術の改善によって実現した。
まず、樹脂製シート上に形成する銅配線の形状を改良した。セル間をまたぐように位置する配線の寸法を太くすることで、セル間を電流が流れる距離を短くし、送電のロスを減らした。
この銅配線の厚さを増すなど、配線の設計の工夫により、電気抵抗を低減したことも変換効率の向上に寄与した。
48セル品への大型化は、樹脂製シート上への銅配線の線幅や間隔、厚みといった寸法や配置の工夫、加工の精度向上に加え、パネル組み立て時の加熱によるプレス工程の改善によって実現したとしている。
加熱によるプレスは、表面側から順に、カバーガラス、太陽電池セル、銅配線付きの樹脂製シート、樹脂製バックシートを重ね、熱と圧力を加えながら一気に封止する工程となる。
それぞれの材料が異なるため、加熱による膨張、その後の冷却による収縮の度合いが異なり、とくに樹脂材料は膨張・収縮が大きく、加工の精度に影響する。面積が大きくなるほど、精度への影響が大きくなり、42セル品に比べて、48セル品では約15%高い加工精度が必要になった。銅配線の設計の工夫、プレス機の改良などによって実現した。