直径を10分の1とした実証機で検証
実証した波力発電システムの原理や構造は、イタリアで生まれた。実用化するためには、優れた機械加工技術などが欠かせず、船舶関連の技術や加工会社が揃う日本で実証することにした。
神戸は、こうした技術が集積した場所で、かつ、神戸市が実証に必要な環境の提供に協力的だったことから、早期に実証を完了できたとする。
実用機は、最小で直径約14m、出力1.2MWを計画している。高さ約24m、重量1250tを想定し、最低で50cmの高さの波があれば発電できる。
実証機は、この10分の1となる直径1.4mで作成した。高さは約14m、重量は6.8tとなる。
波の動きに合わせて海面で上下に動くフロートは一つで、直径1.2m、重量は500kgで、最低で高さ40cm(上下差80cm)の波があれば発電できる。出力は10kWとした。
ギアボックスや発電機、位置制御用のスラスターなどは欧州製を導入し、その他の部材やコンポーネントは日本で調達・製造し、組み立てた。
この国内担当分の設計はテックオカザキ(滋賀県日野町)、製造はキクタ(兵庫県尼崎市)などが担当した。
欧州製の基幹システムについても、実証機で使いこなすにあたって日本で改良したものもある。国内で製造・調達できる目処もあり、実用機ではほぼ全体を国産品で製造する予定とする。
実証は、まず、工場で組み立てた状態で、陸上で実施した。次に神戸新港内でクレーンを使って波を受けた状態を模擬的に再現した環境で実施した。
最後に、神戸新港から約3kmの沖合に曳航し、実際の海上の環境で実施した。
約3km沖での実証については、波が想定より小さかったものの、想定した出力を得られたとする。
共同開発者であるEd Schaffner氏によると、イタリアなどと日本では、製造技術や開発の手法が異なり、日本の設計・製造パートナーとの取り組みの中で、学ぶことが多かったという。
とくに、コンセンサスを得ながら進めていく手法や、設計責任・製造責任に対する考え方に、違いを感じたようだ。