米国の重電大手であるS&C Electric社は5月23日、イリノイ州シャンペーン(Champaign)でエネルギー大手のAmeren社が構築したマイクログリッド施設向けに高度自動化・制御システムを供給したと発表した。

 このマイクログリッドは、イリノイ大学シャンペーン校の近くにあるAmeren社の技術応用センター(TAC)内で構築されたもの。電力網で使用される4k~34.5kVの高圧で運用が可能なマイクログリッドとして、世界でもまだわずかな事例の一つという。

 太陽光、風力、天然ガス、定置型蓄電池といった複数の分散電源を統合し、TACや近隣の電力負荷1MW分に対する高度な自動化を実現したとしている。

 各分散電源の出力は、風力発電設備が100kW、太陽光発電システムが125kW、ガス発電設備は500kWが2基、定置型蓄電池が250kW。

 定置型蓄電池としては、米国のマイクログリッドとして初めてS&C社の「PureWave SMS-250」を採用した。容量500kWhのLiイオン電池に、Ameren社の電力網または各分散電源から2時間分の電力を貯められる。

 停電時には、系統側から切り離してマイクログリッドとして自立的に電力を供給でき、系統の復旧後にはスムーズに系統側への再接続を行えるという。

 高度自動化・制御システムは、S&C社が2016年8月に買収したIPERC(Intelligent Power & Energy Research Corporation)社が開発した。

 IPERC社は2004年設立のベンチャー企業で、マイクログリッドの制御システムやサイバーセキュリティ技術などを開発していたという。